2011年08月11日
ことの葉っぱ
ことの葉っぱ
星野元一
畑はみごとな ザッソウ
という名の葉っぱばかりだ
たしかに前世は荒地で
地主はザッソウであったのだ
とっくに
観念している
だからせめて
わたしの机の紙の畑も侵略し
ナスやキュウリやトマトにはなれない思想の
ことの葉っぱたちを整列させ
オメエーラ!
と頭を棒でたたき
ケムシやカメムシやカやアブやハチ
をほっぺたにくっつけ
死んだモグラやネズミやトカゲやヘビ
を目の前にぶらさげ
イイカ!
アヤマレー!
と怒鳴って
鼻をこすってみてはくれないか
昭和の餓鬼大将のように
ことの葉っぱは
気位ばかりが高いのだ
わたしが諭すと 嫁のように
フン といい
昔の姑のように
ヘン といってそっぽを向き
わたしの育てた畑の野菜に
けちばかりつけてくるのだ
今日、星野元一さんの個人詩誌『かぎゅう』39号が届いた。この作品のほかに2篇とゲストの新保啓さんの作品。どれもおもしろい。「地主はザッソウであったのだ」なんて、日頃ザッソウを目の敵にしている私はどきり。そうだよなそうだと妙に納得して、でもやっぱり観念なんかしないと思いつつも、やっぱ私も観念してるのかもしれない。ついでに私はバッタも追加したい。しかし言の葉は、本当に気位高くて気難しいです。
投稿者 eiko : 2011年08月11日 11:32
コメント
作者の苦闘(?)ぶりが、勢いを削ぐことがないユーモアも加わり、面白く、生々しく、伝わってくる作品ですね。いま、わたしもまた、いったん収穫したものを紙の畑に戻し、作り直そうなんて、とんでもないことをしているので、気位の高い言の葉の猛攻撃に合っているところです。
投稿者 蒼りんご : 2011年08月12日 06:03