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2006年02月09日
「日詰明男展」と「宮崎次郎展」を見に行く
「ヒポカンパスの詩画展」を開いた「ASK?」の次の企画が面白そうだからと、水野さんに誘われて一緒に見に行った。水野さんの詩の世界にも通じるような宮崎さんの方が本命で、ついでにこちらも見ようということになったのだが、こちらも素晴らしかった。その素晴らしさを文字で描写するのはとても難しい。なんといっても高等な数学の世界と建築、音楽が結合した美を表現したコラボレーションだからである。
フィボナッチ・ドラゴンと名づけられたそれは、フィボナッチ数という私には理解できない数値を基にしてコンピュータによって描いた図形であり、構造物であるという。会場には、螺旋状に限りなく成長するドラゴン(龍)を意味するらしい、壁のパネル群と木とプラスチック片で形作られた塔のようなものが2つ、青い光の漂う暗い会場に置かれているだけである。
しかしその中に佇んでいると、宇宙から流れてくるような静かな音楽に包まれ、まさに夜に宇宙を眺めているような気持ちになる。
クリスマスツリーのような2つの塔、螺旋の組み合わせで作られ無限に成長変化する龍を表すというそれと、またあちこちに下がっているこれも数学によって計算された立体、蛍のように呼吸し明滅する星籠のいくつかは、時間につれゆっくりと光り方を変え、明滅し、そして会場全体もまたそれに呼応して明るさを変えていくのである。
数学は美であるというのは、読書会でも読んだ小川洋子の「博士の愛した数式」にも出てくるが、これはそれを目に見える形の美として表現しようとしたものである。
巻貝のような自然の驚異的な美しさも、数値として計算できるといい、その逆の狙い方で、その美を表現しているということだが、あまりに深遠すぎて理解が及ばない。とにかく青白く発光するドラゴンや幾何学的な蛍の姿、そして無限の螺旋に埋め尽くされた、目がくらくらするパネルなどが、今でも目に浮かんでくるようだ。
宮崎次郎さんのは、またまったく違った世界と雰囲気を持ったものだったが、これも愉しく、心豊かになるものだった。アトモスフェールと名づけられた作品群で、そのかなりの作品が日本丸の船内を会場として展示されたというが、豪華船内で美味しい料理やワインを飲みながら眺め、陶然としながらこのファンタジックな世界に入っていくにちがいないと思わせられるからである。ここにはパリの匂いが濃厚である。男も女も道化師も笛吹きもヴァイオリン弾きも曲芸師もまた馬も鶏も花までも魅力的な顔をして目を見開いている感じがする。
少々書くのに疲れたのでこのくらいにします。私が拙く紹介するより、それぞれ画家のホームページを検索すると出てきますので、こういう書き込みは無用の長物かもしれませんね。
投稿者 kinu : 2006年02月09日 21:00