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2008年08月21日

台峯の夏の花々

台峯に向かって歩き出した時、蝉のことを訊ねて見ました。やはり今年は蝉が少ないようだと皆言っている、というのがK さんの答えでした。そして解散時に口から出たのは、ツクツクボウシの声が全然聞こえませんでしたね、おかしな事です、という言葉でした。でも私の家の周りではよく鳴いているし、ミンミンが鳴くよりも前に鳴きだしたのでおかしいと思ったのでしたが・・・。所によっていろいろのようですが、何か異常な感じがあちこちにあるようです。でも自然というものは元来そんなもので、いつも同じではないのかも知れず、少し神経質になっているのかもしれませんが。今この辺りでは、ミンミンが良く鳴いています。

さて台峯で今回よく観察したのはいろいろな花たちです。
でもこれは目に付く大きな花ではなく、ほとんどが雑草と呼ばれる花たちなのでした。この時期、春のようにたくさん花が咲くことはないので、その小さな花たちが昆虫にはとても大切になるそうです。
そしてその小さな花をよく眺めると、大きな花に負けないくらいにいかに精巧で、繊細、美しいかということを、Kさんは強調します。ルーペを当てて眺めると、なるほどと感心させられます。先ず第一の田んぼの稲の花はもう終わっているのですが〈それが実って籾になっている)、その痕跡のようなものも、指摘されなければ見たりしないでしょう。
ヤブミョウガの白米を砕いたような白い花、キツネノマゴという小さなとんがり帽子のような花穂は、小さな花が順番に咲いていつまでも昆虫を引き止めるという。わが庭にもあるヤブランの紫の花。よく見かけるジュズダマ、イノコズチ、タマアジサイ。
第二の田んぼの宅地化された周辺には、早速、ベニバナボロギクという、帰化植物がたくさん背丈を伸ばし花を咲かせていました。ボロギクと言われるだけあって、花が終わるとタンポポの綿毛よりもっとモシャモシャとしたものをつけて、それが飛んで行って増えるのです。これは荒地に先ず増えるもので、増えてほしくない植物です。アレチマツヨイグサも同様。
つる植物では、どこにもよく見られるへクソカズラ(こんな名前でかわいそうですが、別名はヤイトバナ)、この花の蔓を備前焼きの花器に挿したら風情がありますね、という人あり。オニドコロは、花穂が立って咲くのが雄花、逆が雌花と教えられます。この山芋に似た葉をもったこの蔓草の、巻きつくコイル状の髭蔓の何という繊細なこと!黄色い花で、終わったあとも鞠状になって目に付くダイコンソウ。実が水玉に似ていて花もきれいなミズタマソウは、Kさんが大好きな花だと言う。こういう風情の女性が好きなのかな。
カラスウリの花がたくさん見られました。花と言ってももうしぼんだものですが、ご存知のようにこの花は真夜中に咲き、それは白いレースのようでとても美しいそうですが、残念ながら私は図鑑以外に実物を見たことがありません。
そのほか赤いミズヒキソウはよく見られますが、黄色いキンミズヒキソウ,またスズメウリ。ミゾソバの花はまだ。
これら雑草と言われるものや蔓は、狭い庭に生えてくるとどうしても引き抜いて取らざるを得ません。そういうものたちが生息できるこういう自然が残っている事が豊かさをもたらすのだと思います。
壊されようとしている例の緑地の崖には、ここらが北限と言われるコモチシダ(シダの葉の上に小さなシダが生える)など、シダだけでも8種類が生息しているとか、今ではそういうことを根拠にして、どれだけ緑地を残せるかにかかっているようです。

投稿者 kinu : 14:55 | コメント (0) | トラックバック

2008年08月20日

台峯に危機迫る

先の日曜日は、30日以上も続いた真夏日のなかでは奇跡的とも言える涼しい日でした。
これまでの台峯歩きで、8月はまだ一度も参加した事がありませんでした。盛夏の中ではどういう様子だろうとは思いながら、暑さにしり込みしてまだ出かけたことがなかったのでした。
ところが朝起きてみて、驚いたことに予報では晴れだとあったのに、一面の曇り空、そして空気はひんやりとしているのです。千載一遇とばかりに急に思い立って出かけたのでした。

参加者はやはり少ないほうで、全部で15、6人。初めての人が目立ちました。
真夏は真夏で植物はチャンと生活しているのですから、それなりに見るべきことはあり、楽しかったのですが、それよりも危惧すべきことが露わになってきました。それを取りあえず書くことにします。

曇り空で気温も低く、歩くのはちょうどよく、まわりには霧のようなものが立ち込め、それが間もなく霧雨のようにもなったりしました。何年か前、東北地方を襲った冷害、「やませ」のような現象だ、という人がいました。こんな天気が夏中続き、太陽は隠れて陽が射さず、稲が実らないというのがちょうどこんな現象だというのです。前日の最高気温は34、5度、この日は26度というのですから、涼しいはずです。

危機は第二の田んぼに来たときに生じていました。第一の田んぼはすくすくと伸びた稲が穂をつけていて、爽やかな青田が広がっていました。今年は暑かったことから実りは良いようでした。
第二の田んぼは山近い事もあって生育が遅れてまだ穂が出ていません。それでも青い稲の波が広がっていました。しかしこれに続くところは暫く前から開発の手が伸びて、無残にもコンクリートの高い崖と宅地化がいっそう進み、間もなく家も立ちそうな気配でした。ところがその坂を上がったところも今や開発されようとしていたのにこの間は驚いたのですが、地形状、生態系上、手をつけるべきでない緑地までとうとう切り崩されそうになっているということを知ったのです。
これは先に書いたことでもありますが、この緑地は鳥たちをはじめいろいろな生き物たちの通り道、グリーンベルトになっていて、ここを切り崩す事はその往来を切断、分断する事、またこの地は地質上いろいろな岩石が交じり合っているところで貴重でもあり、またその結果植物も多様で、様々な貴重なものが残っていることなど、学校の教科書にも貴重な切り通しの一つとして掲載されているところ、ということが研究者、識者によって指摘されているということです。もちろんこれへの反対の声は各団体からも上がっているのですが、どうにもならないようです。
途中の周辺住民の隣組の掲示板に、そのことについての警告があり、反対を表明するピラも張られていましたが、もう手遅れです。
立て看板には、20年6月6日に市の許可が下り、工事の着手は8月18日から、21年3月31日とペンキの色も鮮やかに書かれてあったのです。それでも、この緑地の重要性を楯にどこまで譲歩させるかしかない、と経過を知っている人は憤慨しながらも冷静にそういっています。
この地は、市が残すと決定した台峯の範囲ではなく、周囲に過ぎません。ですから法に触れなければ、市は許可するしかないのです。大きな開発は禁止されていても、少しずつ開発していけば許可しないわけには行きません。それをここはやっているようで、またその丘を削って谷を埋めるというその緑地も、そこにテニスコートを作るということで、許可されたのだそうです。こんなところにテニスをやりに来る人がいるでしょうか、それは更地にする口実で、暫く寝かせていて宅地にするでしょう。

ここは台峯に至る道の中でも自動車道であるにもかかわらず両側の緑が深く、風情もあって気持ちのいい場所です。源氏山に至る分岐点でもあります。その片側を切り払ってテニスコートですって!!
周辺の住民は、そんな事は嫌だと反対するでしょう。しかし他人の所有地をあれこれ言う正当な理由はありません、業者も儲けることが本業ですし、従業員たちは生活がかかっています。
ああ、いつものパターンだなと思います。企業は商業ベース、金儲けの論理でことを運びます。住民たちは自然・生活環境から反対します。それは大抵平行線を辿ります。その両方を踏まえ、もっと大きな視野の上に立った見解や政策が必要なのでしょう。それが本当の意味で行政であり政治であり、理念でしょう。それが欠けているのだと、憤慨している人もいうのですが。
私もちょっと憤慨して喋りすぎましたので、この辺にします。

投稿者 kinu : 14:16 | コメント (0) | トラックバック

2008年08月02日

小澤征爾音楽塾 特別演奏会 喜歌劇「こうもり」

これに行くのは去年に続いて2回目である。
去年は歌劇「カルメン」であった。
小澤征爾提唱のプロジェクトで、オーディションに合格した若い演奏家たちを集め、各パートの一流音楽家たちを招いての一ヶ月間の集中練習によって仕上げ、公演にこぎつけるというもの。もちろん指揮は小澤の直接指導である。若い息吹と才能が感じられる、楽しく気持の良いものだったので今年も出かける事にした。
確かTVで、中国の若手の天才ピアニストと共演するための集中指導を密着撮影した番組があって、天才同士のツーカーぶりの練習光景に驚嘆した記憶があるが、そんな風に作り上げたものであろう。
指揮は、昨年と同じ鬼原良尚 20歳の若さである(帰って自分のブログを見ると確かに去年は19歳であった)。

喜歌劇「こうもり」は、「オペレッタの王様」といわれているヨハン・シュトラウス�世作曲の、たった42日間で仕上げたといわれている作品ながら、完成度が高くウインナ・オペレッタの中でも最高峰といわれている。とにかく優雅で軽快なウインナ・ワルツの旋律が全編を彩り(耳になじみの旋律も多かった)、まさに夏の夜の夢、の楽しさに満ちたものだった。(しかし舞台の時間はは大晦日であるが)
オペレッタと言っても豪華な舞台ではなく、オーケストラ&合唱団による、しかしオケの背後は舞台になっていて、そこでチャンと衣装を着けた歌い手が演じるわけで、侯爵家の舞踏会が多くを占めるので結構華やかで、楽しく美しいのだった。チケット料も手ごろで、近いということもあって私にはこれで十分である。

若く、きらきらした才能の数々、また幕間に姿を見せて話をした小澤さんの、変わらぬエネルギッシュで情熱的な姿にも感嘆し、少し元気をもらった感じがしたけれど、帰ってくるとぐったりしてしまった。
今日もいろいろ感想など書きたかったけれど、もう疲れました。

さて、ミンミンですが、確かに鳴き始めましたが、この庭では朝暫く鳴いたと思っていたらそのうち鳴かなくなってしまうのです。この周囲の地面に何かがあったのかなあ。カナカナばかりが多い。

投稿者 kinu : 16:05 | コメント (2) | トラックバック