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2010年09月20日
残暑の秋の台峯歩き
朝夕は秋の気配ですがまだ残暑の日々です。昨日も30度近くになるとのことですが、秋を探しに出かけることにしました。
集まったのは、初参加4人(1人は背の高い外国人で大きなカメラをぶら下げて熱心にレンズを向けていました)を加えて20人くらいでした。
皆出会えば今年の暑さを挨拶代わりにしますが、この辺は湿気が多いので、同じ暑さでも蒸し暑く、都心の方が乾燥していて過ごしよいということ。確かに谷戸の多い地形はそうだろうと思います。
さてこれからは秋の虫の季節、実は松虫を聴く夕べが早速、明日(ブログを書いている今日)だということですが、少々夏バテ気味なので残念ですが見送ることにしました。
その虫ですが、今年は暑さが続いているのに数が少ないとのことです。これは異常な暑さというよりも、5月~6月初めに寒かった(珍しく遅霜があったりして)せいで、ちょうどその頃は卵から幼虫になる季節だった、ということが原因のようだとのこと。果物にも被害が出ているのもそれではないか…ということでした。
それでも虫の声はこの辺りでも聞かれる様になりました。やはり声の大きいアオマツムシ、そしてコオロギのようですが、やはりその声の判別は難しいです。それで今回も虫の姿とその説明をしたカラーコピーが配られましたが、新しい人も多いということだからともう一枚草花の資料も作成され、今回は2枚という大判振る舞いに与りました。
歩き始めて先ず第1の田んぼです。もう稲穂が黄金色に実っていました。後1,2週間で稲刈りが始まるだろうとのこと、何日か前の激しい降雨のせいでしょうか、倒れているところもありましたが、これは大丈夫ということ。
第2の田んぼも、少し遅れてはいますが、無事に実りのときを迎えていました。しかし宅地はもう隣にまで迫っています。
シオカラトンボが飛んでいます。これが姿を見せなくなってから赤トンボアが出てきます。
稲に混じってつんつんと穂を出しているのは、ムギヒエといい、田んぼにとっては雑草です。しかし縄文時代にはこれも食べていたのだそうです。という話から、縄文時代の脱穀の仕方、またこの辺りは山の上にしか縄文時代の遺跡は見られないので、その時代ここらの平地の多くが海中で入り江になっており、この一帯はリアス式海岸のようだったのかもしれないとか。確かに大船は淡船ともいわれており、船が出入りしていたわけです。このようにKさんの博学につられて、いろいろ想像を膨らませていくと日が暮れるので、先へと歩を進めます。
今は萩が盛りで、白萩ばかりを繁らせた風情のある家などを横目に、野の花としてはツルボ、ヤブラン(どちらも紫色)、白いヤブミョウガ、センニンソウ、また赤と白のミズヒキソウと黄色のキンミズヒキ、ヒメキンミズホキ、同じ金色のダイコンソウなど。
またヌスビトハギ(実はよくくっ付くので知っているが、ちゃんと花も咲くのです)、そしてヨモギ(これも花が咲くわけで、これまで注意したことがありませんでした)。
皆花の一つ一つはとても小さいことにも気がつきました。小さいけれどもそれぞれが可愛い姿をしているんですね。
老人の畑で休憩した後に谷戸に降りていきます。絞り水が流れとなっているのを見下ろしながら山際を歩いていると彼岸花が一輪。本当にこの花は、季節に律儀なのには驚きます。そしてそのことはここが昔は田んぼが作られていたことを物語ってもいます。その畦道にあった名残りです。池にはカルガモが泳いでいました。2羽だったので、カップルかもしれません。マガモもやってくるそうで、カワセミを見たことが思い出されます。湿地で注目されていたハンゲショウは実をつけていますが、そのことは指摘されなければ気がつきません。ムコナの白い花(ヨメナに対してこういう)、これからが見頃のツリフネソウ。そしてカラスウリに対してスズメウリ、というのもあるのも面白い。これも小さな白い花で、すでに真ん丸い小さな実をつけているのもありました。このあたりキンミズヒキソウとヒメ……が列を作って咲いています。
水辺を観察する簡単な堰に至ります。ここにヨシノボリがいることが期待されますが、それはなかなか見つからず、今日はホトケドジョウが泳いでいる(10匹ほど)のが見られました。長さ5センチほどの細い姿。Kさんがヤマアカガエルを手にとって見せてくれました。掌に仰向きにするとじっとしているのです。赤っぽい黄土色に黒い縞のような模様。またひっくり返すと飛び上がり、キャット声を上げる蛙の苦手な女性たちの間をくぐって草むらへ・・・。
最後にタデいろいろ。蓼食う虫、という言葉がありますが、タデにも実はいろいろなタデがあること、前回にも教わりましたがやはり忘れていました。オオイヌタデ、ボントクタデ、シロバナサクラタデなど、これらは野草図鑑のようなものを見れば分かりますから書きませんが、とにかく何でもそこに踏み込めば奥が深く、自然はいかに多彩で繊細であるかと感嘆させられます。それらを肌で感じられる喜びを感じます。
休憩をする老人の畑と称している見晴らしの良い場所は虫の天国です。松虫はここを中心にして生息しており、他の虫もたくさん見られます。虫はただ草むらがあるだけではダメで、畑がある周りの背の低い草地、そしてむき出しの地面もまた必要、それらの条件があって生き続けることができる。ここはもう畑ではないのですが、松虫がすめるような虫の天国にするにはどういう環境がいいのかというような試みの場所であるとのこと。その草むらを一緒に歩き回り、ツチイナゴ、キサキリ、バッタ、クサキリ、コオロギ類、マツムシも確かに見ました。しかしほとんど自分では見つけられず、教えられてやっと見つけるという有様です。
長くなるのでこれくらい終りますが、最後に悲しい出来事。ニホンミツバチがスズメバチの襲われたらしく、姿を消してしまいました。そこに棲むというのでなく、幼虫などを食べてしまったらしいということ。
悲しいことではないのですが、今日も美しいアカボシゴマダラ、外来種の蝶を目撃。
ではまた。