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2005年09月03日
ベストの100冊
今日、金原瑞人さんのファンタジーについての講演をきいた。そして20世紀の
文学作品のベスト100についてのアンケート結果を知る。それはヨーロッパなど
に200以上の店舗をもつ本の大型チェーン(ウオーターストーン)が行ったアンケ
ートの結果だ。そこから二万五千人以上の回答が得られ、その結果は1997年
の(タイムズ・オブ・ロンドン)でも紹介されたとのこと。
それによると、10位までは�指輪物語 �一九八四年(ジョージ・オーウェル)
�動物農場(ジョージ・オーウェル) �ユリシーズ(ジェイムズ・ジョイス)
�キャッチ22(ジョゼフ・ヘラー) �ザ・キャッチャー・イン・ザ・ライ(サリンジャー)
�アラバマ物語(ハーパー・リー) �百年の孤独(マルケス) �怒りの葡萄(ス
タインベック) �トレインスポッティング(アーヴィン・ウェルシュ)となっている。
もちろん英語圏に片寄っているが、それは仕方ないことなのだろう。
なお100位までのなかには、意外に子どもの本が多く、16位「たのしい川辺」
17「くまのプーさん」、19「ホビットの冒険」21「ライオンと魔女」などが登場する。
また100冊のなかでもっとも多かった作家はロアルド・ダールで、その4作は、
いずれも子供の本やファンタジー系だったとか。
そんなことからみて、20世紀後半から21世紀にかけては、子どもの本やファンタ
ジーが文学に市民権を得てきた時代といえるだろうとのこと。
ファンタジーを読む会を仲間と続けている私としては、これは興味ある話題だ。
が、たとえば私たちが今まで取り上げた吉田篤弘の作品や、これから読みたい
いしいしんじや、町田純の作品などは、(ファンタジーを指輪物語のような枠組みで
とらえると、)いったいどうなるのだろうなどと思ってしまう。もちろん読み手としては
そんな分類にこだわることはないのだが、日常と幻想の境界をこえ、あるいはすれ
すれに飛翔しながら展開される日常異化作用のある作品は、ファンタジーの方法と
して私にはとても興味がある。(それには文体の問題が微妙に絡むかもしれないが)
ファンタジーブームなどといわれて次々出版されるそれらしい大きな物語の枠の
外で、この日常と微妙に交錯し、あるいは侵し、あるい姿をくらましながら、この
窮屈で一元的ななまの現実を異化し、おもしろがらせてくれる、ユーモアとファンタ
ジーに溢れた軽業師たちを期待するのは、私だけではないだろう。
投稿者 ruri : 2005年09月03日 22:31
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コメント
10位までの中で、唯一わたしが読んでいたのは、マルケスの「百年の孤独」でした。ファンタジーの枠組みや定義は、難しい問題ですが、やはり、わたしも、おっしゃる通りの、(日常と幻想のすれすれを飛翔しながら展開される異化作用のある作品)に心惹かれます。この世も幻想のひとつと思わせるような。
投稿者 青リンゴ : 2005年09月04日 11:30
先日お借りした(頂いた)「沈める城」も、一種のファンタジー、異界の物語ですね。実業の生々しい世界を描いているようでいて・・・。あちらとこちらが錯綜していて、混乱させられますけど。厚いので何しろ読むのが大変です。「動物農場」と「怒りの葡萄」は、民芸でも演じられましたが、現代でも共感を呼ぶというのは、時代を超えたものがあるということで、ファンタジーというのはそういう要素があるのではないかしら。「百年に孤独」はまさに題名のようなスケールの大きさに圧倒されます。サリンジャーは不思議な作家ですね。村上春樹が新訳を出したのではなかったっけ。明日は雨のようですが、出かけます。
投稿者 木苺 : 2005年09月04日 22:05