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2007年01月28日
草野信子詩集『セネガルの布』
草野信子さんの詩集『セネガルの布』から一つ詩を写させていただく。この詩集はその内容にぴったりの実におしゃれな装丁で、手にしても感覚的に心地よい。この表紙の、重ねられた二枚の色のコントラストの陰影のある美しさ、これはセネガルの布を模した色なのかしら?などと勝手に想ったりする…。私も一枚だけ持っているマリ共和国の、大地を思わせる色のテーブルクロスを思い出しながら。
セネガルの布
なにに使おうかしら
と言ったら すかさず
〈風呂敷です〉と答えたので 笑った
テーブルクロスには 大きすぎて
でも ハサミをいれたくはない
藍染の木綿
部屋いっぱいにひろげて
アフリカの女たちの
素朴な手仕事のはなしを聞いた
セネガルから帰ってきたひとの土産
〈人間であることがいやになったときは
もの、になって
部屋の隅にころがっているといい
これは そのとき
あなたを包むための、風呂敷〉
夜の湖面をたたむように
折りたたみながら
うなずいた
だから
こんな夜は
包まれて眠る
セネガルの布に、ではなく
きみの、 そのことばに
※
詩人と、もうひとりのだれかとの、とてもすてきな心のゆきかいが、手に触れられそうな詩。
私はこの詩人の、生への洞察力と、繊細な感受性、そして端正な居住まいをもつユーモアに
心惹かれます。
投稿者 ruri : 2007年01月28日 22:32
コメント
外国で買った布は、ちっとも飽きないのが不思議。
エキゾチックな柄が素敵で、確かにハサミは入れられませんね。
ネパールで買った安い布、マレーシアの知り合いがプレゼントしてくれた布。
両方とも、ときにテーブルクロス、ときにソファのアクセントに
利用して楽しんでいます。
投稿者 KO.KO.DAYS : 2007年01月29日 22:07
KO.KO.DAYSさん
いままで外国で買った布や、お土産にいただいたいろんな布も結構あったことを思い出しました。テーブルクロスにしたのはいずれどれもしみがついてしまうし、大切に仕舞っておけばそれきりになってしまうし。ああ、でもときどき取り出して風にあててやりたいなあ…などと。故郷はそれぞれにジャワ島、インド、韓国、中国、フランス、エジプトなどあって…。布の故郷を思い出すのっていいですね。
投稿者 ruri : 2007年01月30日 13:49
テーブル大のビニールを買い、大事な布の上には
そのビニール(ロールで売ってます)を載せます。
これで安心。そして気分はエスニック!!
以前は、壁に絵のように貼っていたときもあります♪
でも、それって、ちょっと子どもっぽいかな?
今は、古い帯の活用について悩んでいます。
USAに住む知り合いが、日本の帯をテーブルに横に伸ばして置いて楽しんでいる人がいると、
聞いたことがありますが。
しかし、これもやっぱり、ビニールの下?(私的には)
でも、それでは、少々やぼですよねぇ。
投稿者 KO.KO.DAYS : 2007年02月02日 23:28
野暮と粋って微妙に紙一重ですよね。
スカーフを首に巻くとき、ピンなどでとめないで、あえて巻きっぱなしで、かっこよく歩いていた友だちがいましたが、おかげで何枚も何枚もスカーフを紛失して…。でもこれはイキの領分かしら。
まあ長生きするとだんだんおばさん思考になります。合理と非合理…。
投稿者 ruri : 2007年02月03日 11:21