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2007年02月07日
「水を作る女」 文 貞姫
鈴木ユリイカさん発行の「SOMETHING 4」を読了。力強い作品の数々を読む楽しみにしばらく浸った。いくつかの魅力的な詩の中で、今日は特に惹かれた文 貞姫さんの作品を写させていただきたいと思う。
水を作る女 文 貞姫
娘よ、あちこちむやみに小便をするのはやめて
青い木の下に座って静かにしなさい
美しいお前の体の中の川水が暖かいリズムに乗って
土の中に染みる音に耳を傾けてごらん
その音に世界の草たちが生い茂って伸び
おまえが大地の母になって行く音を
時々、偏見のように頑強な岩に
小便をかけてやりたい時もあろうが
そんな時であるほど
祭祀を行うように静かにスカートをまくり
十五夜の見事なおまえの下半身を大地に軽くつけておやり
そうしてシュルシュルお前の体の中の川水が
暖かいリズムに乗って土の中に染みる時
初めてお前と大地がひとつの体になる音を聞いてごらん
青い生命が歓呼する音を聞いてごらん
私の大事な女たちよ
(日本語訳 韓成禮)
※
この詩をよむと、のびのびと心が解放される感じです。人の体は水の運搬人,水の管なのだと私も実感します。この感じは都会の暮らしではなかなか味わえませんけど。私は、乾いた鉢植えの木の根元に水をやるとき、地面が水を吸い込んでいく音が大好きです。
十五夜のような下半身…ていうのも新鮮!エッセイ「髪を洗う女」も同じ題の詩もどきどきする生命力を感じました。鮮やかな詩でした。
投稿者 ruri : 2007年02月07日 16:57