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2007年07月05日
「のどが渇いた」 八木幹夫
6月の読売新聞掲載の八木幹夫さんの詩を、あらためてここに載せたい。
のどが渇いた 八木幹夫
どーっとかたまりになって走っていった
象の大群ではない
どーっとかたまりになって動いていった
土砂くずれではない
ずーっとかたまりになって揺れていた
逃げ水ではない
ずーっとかたまりになって働いていた
更新された機械ではない
ときには
鬼の充血した目のような
マグマをのぞかせることもあったが
おおむね我慢した
かたまりになるのは嫌だったから
朝早く家をでて
会社へも 外国へも
この世の果てならどこへでも
飛び出した
かたまりのまま
どーっとかたまりになって定年退職
塊
ニンゲンのかたちとは似て非なるものだ
土まみれの鬼だ
ついに
コケ生す巌(いわお)となるようには
一枚岩にならなかった
どーっとかたまりになって死亡通知
(ここで一同起立 君が代斉唱)
ひかりの揺れる川床で
それぞれのさざれ石はあぶくのように
つぶやいた
「のどが渇いた」
※
読むと分りやすいが、書くのはなかなか難しい作品だ。この鮮やかで痛烈な風刺に、「やった!」と胸の中で叫んでしまった。とくに3連、4連の切れ味のよさ…。
八木さんに言わせれば,「団塊の世代の自虐と揶揄と風刺をこめた」作品ということになるが、団塊の世代でなくとも、今の時代と世相を生きる多くの人間にとっては、胸のすく思いで読める一篇ではないか。
投稿者 ruri : 2007年07月05日 21:38
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コメント
お久しぶりです!
ブログきてみました。メールも今送りました。
手紙のほうが早かったのが悲しいです・・・。(´`)
みや子さんの方にはなかなか上手くつながりません。
また時々のぞきます。
投稿者 chiyoko : 2007年07月14日 16:16