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2007年12月12日
あめふらし
絵本あめふらし(絵本グリムの森�)《絵:出久根 育 訳:天沼春樹》に惹かれたのは、
もっぱら出久根育さんの絵のおかげだ。
《12の窓をもつ高い塔から国中を見渡すことのできる、ひとりの王女さまがいました。彼女は気位が高
く,誰の言うことも聴かないのです。自分のお婿さんは、千里眼の自分と勝負して、彼女の目から、すっ
かり姿を隠さなければならない、というお触れを出しました。この王女の挑戦に敗れたものは、首をはね
られ、杭に串刺しにされて、さらしものになるのです。…こうしてお城の前にはもう99本目の杭にまで男
の首が刺されました。》
さてどんなメルヘンにもあるように、この王女さまにも100人目の求婚者があらわれて、いくつもの試練
をくぐりぬけて、めでたく王女様と結ばれることになるのですが、これがなかなか大変です。
カラス、サカナ、キツネたちに助けられて、その若者が、王女さま相手に繰り広げる駆け引きのおもしろさ
が、怖楽しい(こわくてたのしい)。ブリューゲル風の異形の風貌をもつ登場者たち。エネルギーと奇想溢
れる絵の展開に、開くたびに見入ってしまうのです。これは現実のうらがわから、もうひとつの”真実”が
窓越しにこちらをのぞいている大人の絵本です。
でもなぜ「あめふらし」がここに登場するのか、ちょっと不思議。
もしかしたら、だれの髪の毛のなかにも、アメフラシが一匹、こっそりひそんでいるのかも。
投稿者 ruri : 2007年12月12日 12:38
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