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2009年07月31日
オーロックスの頁・(The Aurochs Page)
オーロックスの頁
水野るり子
この地上が 深い森に覆われ
その中を オーロックスの群れが
移動する丘のように 駆けていたころ
世界はやっと 神話のはじまりだったのか
貴族達が 巨大なその角のジョッキに
夜ごと 泡立つ酒を満たし
ハンターたちが 密猟を楽しんでいたころ
世界はまだ 神話のつづきだったのか
やがて 森は失せ
あの不敵な野牛たちは滅びていった
うつろな杯と 苦い酔いを遺して
破り取られた オーロックスの長いページよ
世界は それ以来 落丁のままだ
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(オーロックスは長い角をもつ大きな野牛であり、飼牛の祖先だった。ユニコーン伝説のもとになり
旧約聖書にも登場する。角はジョッキとして珍重され、肉は食べられ、1627年に最後の1頭が死んだ)
The Aurochs page
( Edwin A.Cranston訳)
The earth was covered in dense forest
through it roamed herds of aurochs
like moving hills maybe the world at last
was entering the time of myth
When nobles every night filled giant horns
to overflowing with the frothy mead
and hunters took their sport in poarching game
maybe the world was still in myth’s continuum
Finally the forest vanished
those intrepid wild oxen followed into oblivion
leaving hollow drinking cups and a bitter intoxication
the long aurochs page torn out the world’s book
has ever since been incomplete
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(この作品は以前「夢を見てるのはだれ?」という葉書詩のシリーズに発表したものです。一部訂正しました。)
投稿者 ruri : 2009年07月31日 10:55