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2010年06月09日
またなの
久しぶりで更新します。今年前半も間もなく過ぎようとしています。2月から3月にかけて足の手術で入院するなどして、ずいぶんペースが遅れました。今日は中井ひさ子さんの「ブランコのり9号」からの作品を載せたいと思います。
またなの 中井ひさ子
こんな日は
考える人になって と
公園のベンチに座っていたら
昨日言ってしまった
ひと言が
からだのすき間から
聞こえてきて
ちりちり 痛いよ
またなの と
ラクダが
けむたげな目をして
通り過ぎていく
冷たいね
春だもの
微かに揺れている
桜も 木蓮も 菫も 大根の花も
とり集めて見よう
見渡せば
風の
大仰な身振り手振りで
もっと もっと
思い出してしまったよ
ぼくの
こぶの中にあるものなあに
帰ってきた
ラクダが聞いた
””””””””””””””””””””””””””
少ない語彙なのに、というかそのために、呼吸のリズムがびんびん伝わり、現実味を感じてしまう。とくにラクダ(中井さんのなかの一因子?)が生きている。一人称が(ぼく)で登場するのが印象的。(俺)とか(私)に入れ替えて見ると、空気が一変するのでおもしろかった。彼女はここですっと(ぼく)にしたのかなあ。今度きいてみよう。