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2010年05月31日
恋
恋 桜並木の門をくぐりたがる胸は 薄紅色の血脈が身体から飛び出し 誰かの内で鼓動が響き合う 桜の花びらが散って腐敗していく頃 土足で踏みにじる運動靴は 汚臭を発する 太陽が焦がれる高嶺の花は 異常気性なうえに 当たらない天気予報のように いつも気まぐれ 桜の葉が汚濁にまみれ 排水溝に溜まっている 伸びすぎた前髪と後ろ髪 もっと綺麗に整えたくなった サロンに行く途中のコスモス畑は 色鮮やかで目移りせずにはいられない 桜の木の静かな心音を吹雪がかき消す 雪が続くとまた春を振り返りたくなる 思い出が美化される 海綿状だけ見ていたい 桜の蕾が少しばかり紅色に染まる頃 ぬるくなったこたつから這い出て 来るべき春の扉のドアノブに手をかけたとき 台所の机には 冷めきってのびたしょうゆラーメンと 長持ちしすぎた蜂蜜漬けの梅干しが 残っていたので 泣きながら食べた投稿者 つるぎ れい : 2010年05月31日 07:00
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