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2011年06月10日
分岐点
人生はいりませんか
人生はいりませんか
老いた瞳が訴える
人生って何だろう
人生って何だろう
振り向きたがる団塊世代
人生に愛を加えたい
人生に愛を加えたい
必死でキーボードのiを押す三十路女
人生ってしまむらに売ってるの
人生って今 流行ってんの
ショーウィンドーのマネキンのような女子高生
それぞれの胸の振り子は
午前0時が始発点
逆回転する短針の
指さす先は謎かけ問いかけ
質問攻めの終止点
あるいは
道行くダンジョンで
大皿に盛られた過去と未来
秤にかけたら
懐古と倦怠の分岐点
2011年06月09日
さよならの君
はじめから 特に意味などない恋を まことしやかに 信じた徒花
足跡をかき消すように 逃げ惑う 二人の間に 芽生えた裏切り
愛してる の言葉の重みを 赤薔薇に 託して逃げる さよならの君
朝露も 濡れない昼に 侵されて 色あせて行く 乾いた涙
手を伸ばし 手を翳してみても 届かない 揺らぐ炎は 幻想のまま
きっと泣く きっと裏切る そんな事 知ってるつもりで 交わした約束
もう一度 知らない顔で 罵って お前も違う男を探せ
恋なんて しない女を 気取るには キャリアと趣味と実力兼ねて
あの人が気になりだしたの あなたとは全く違う 素直な人なの
手を握り 砂辺で歩く足跡を 満潮の波に 遠く消されて
2011年06月05日
抱いてみたい
抱いてみたい
何も知らないきみを抱いてみたい
音楽よりも激しい音を奏でる躰
遮断した胸の鼓動
時々寂しげな眼差し
素直になれない強さ
君の全てを暴いてやりたい
何も知らないのは
お互い様だから
人は微熱を重ね
夜に手のひらを握りしめ
独りでないことを
確かめたがる
その夜を二人で越えよう
何も知らなかったその瞳に
一体何が映るのか
光 溢れる未来
重ねた温度から広がる地平線
その海原で君は自由に泳げるだろう
全ては君の手の中に
僕さえも虜にして置いて
何でもも知ってるくせに知らないふりする
薄情なきみごとを抱いてやりたい
(とある、少女に・・・)
2011年06月03日
空中庭園
空中庭園
用意したものは
ハルシオンと
カッターナイフと
包帯
壁には壊れた時計
床には硝子の花が咲く
お互いの手首を傷つけ
血の赤さに安堵して眠る夜
幻覚の森で落ち合って
オルゴールの棺に収まり
夜は宮殿を抜け出し
裸足でピアノの鍵盤の上を踊ったよね
君は永遠の乙女
黒いレースのついた喪服で僕を迎え
幼さの残る激しさで僕を射抜く
そのままで居られなかった苛立ちは
伸び始めた手足たち
汗ばむオスの胸板の下で杭を打たれ
僕はオンナという遺伝子組み換えの罰を受けた
男という生き物は
僕の背中に腕を伸ばすと
「コレは邪魔だな。」
と笑いながら翼をもぎ取り
僕に足枷をして繋ぎ止め
夜しか知らない生き物に作り変えた
人殺しにも似た行為を毎夜繰り返し
僕は残酷になった
もう庭園(くに)には帰れない
なのに君がくれた一輪の薔薇が
故郷(ふるさと)を恋しがるので
地獄にいても
晴れた日は空を見上げて涙が出たりする
あの二人で覚えた遊びは封じられずに
思い出が骨を砕く
帰りたい
還りたい
孵りたい
用意した物は
ハルシオンと
カッターナイフと
包帯
今から逝くよ
肉などそぎ落として
白い粉になって
透明だけが支配する
二人だけの
空中庭園(おうこく)へ