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2011年09月29日
たそがれる
砂浜にポツンと
白いベンチがひとつ
用意されていた
私はそこに座って
地平線に沈む
夕日をみていた
青かった波は
茜色に染まっていった
私はただ
沈んでゆく夕日を
眺めていた
私がこのベンチに
居座る前に
何人かがここを
通過したらしく
消えない足跡が
ベンチから
北に向かって
遺されていた
私は
白いベンチが
紅蓮の炎に照らされたとき
持っていたボールペンで
落書きした
このベンチに座った者
これから座る者よ
言葉だけおいて
私も逝く
と
深海魚
深海魚
潰された光の魚群
盲しいた魚の涙は
静寂に押し込められた
鱗の形
珊瑚に隠した憂いが
光にゆらめく
届かない
羨望の泉水
私の真昼は奪われ続け
動くことも海流にのる術もままならず
幻影だけが水面に浮上し
一片の残骸も遺さないまま
私の訃報が水底で渦を巻く
迷子になった
私の亡霊が
漂流して
盲目に
魂のよみがえりを繰り返す
夜明けに
憧憬の念を抱いて
迷妄の波にさらわれた
己に泣いてみても
黎明も届かない
毎日に
今日を沈めて
目を閉じる
2011年09月23日
ネーサンが行く
あたいのカラダで
あんたが触れてないとこなんて
ないんだからね
知ってるくせに
相変わらずの
指使い
変態!
変態!!
変態!!!
そんなに
攻められちゃ
慣れた
あたいだって
あたいだって…
イクゥ〜〜!
2011年09月22日
大好きよ
大好きよ
もう少し 早く出会えば 私たち 一緒に泳ぐ魚になれた
長い指 そこに光る指輪には届かぬ愛の距離が流れる
もし君を 私が裏切ることあれば 殺していいよ あなたがすべて
街中で キスをしよう手を繋ごう お酒も飲もう 愛も語ろう
あなたより 先に死んだら ごめんなさい 私は君の 守護霊になるわ
指の間に いつも挟んで吸う煙草 そんな私にいれたらいいのに
今更に あなたを想うと泣けてくる あなたが好きよ こわいくらい
一編のあなたの詩にくるまって眠った夜が何度もあった
意地をはり優しく出来ぬ私にも 全てを認めて赦してくれた
大好きよ世界で一番大好きよ あなたがいると 私は無敵
きみの音
きみはぼくの歌であり
詩であった
きみはぼくの透き通る風
静かな湖水
きみがシーラカンスだったころ
ぼくはアンモナイトだった
君が活火山で怒っていたとき
ぼくは冴えない紙切れだった
きみがぼくと歩んだ道は平行線
一番近くできみをみて
一番遠くに感じてた
きみ
もういいよ
きみが地球の裏側で
クリスマスを迎える頃
ぼくはたぶん砂糖黍を
植えている
植えているんだ
飢えているんだ
餓えていたんだ
パキリと折れた砂糖黍
きみにあげるハートのチョコが
ぼくのために割れた音
2011年09月19日
アディクト
アディクト
麻痺した詩文
解読不明の怪文書
死海に沈んだ遺跡
白い部屋には
彷徨える頭脳
細胞分裂を繰り返しては
前途多難の前頭葉
一途な道に
立ち入り禁止の立て看板
ストーカーが
グルグル廻る
終夜(よもすがら)
もしかしたら
君にアディクト
2011年09月14日
蝶へ
悲壮とは 悲愴か蝶よ晩秋を 越えれぬ羽で私のもとへ
駕籠からは 逃れぬ宿世 嘆くなら 僕の名を呼べ 月夜の空に
羽ばたきを封じた犯人 私なら その鳥籠ごと 壊してやるから
褪せた名に 色彩添えた 貴女の名 花の名を持つ それこそが罪
届かない それくらいじゃ届かない 私を呼んだら いつだって…
さよならと 愛してるを綴る指 強く結べよ 私はここだ
どうせなら ごめんなさいより もう一度 聞きたい言葉 【愛しています】
自惚れて いてくださいね 酔うくらい 溺れているのは 昔から僕
罪咎を くぐり抜けてやってこい 包んであげる 壊れぬよう 壊さぬよう
儚さや 悲しみ憂い 脱皮して 貴女は眩しい 言葉を散らす
恋人よ 蝶に美化され 泣くならば 私は貴女を照らす 月でありたい
暗闇に 蜻蛉のように舞う蝶よ 貴女の哀しみは 僕の牢獄
(私信短歌)
2011年09月10日
絆(乱太郎・月夜見)
悲しみを
癒やしに変えて
言の葉を
紡ぐ指で
私に触れて
月夜見
触れたいと
言葉重ねて
愛撫する
迷い込んで
二人の森に
乱太郎
ダンジョンで
探してください
紅い花
あなたのものに
なった印を
月夜見
薔薇の精
肌朱く染め
永久(とわ)の舞
重ねた指は
渦巻く契り
乱太郎
悠久に
詩を描きましょう
君の手に
添えれるならば
私のてのひら
月夜見
てのひらに
わからないまま
文字ひとつ
でもあなたなら
むねでかんじた
乱太郎
抱いてみて
私の全て
捧げても
惜しくはないの
君をください
月夜見
あなたへと
僕の捧げる
ラブレター
恥じらいさえも
封じた切手
乱太郎
プライドも
あなたの前で
通じない
言葉塞がれ
身体が開く
月夜見
信じ合い
罵りあった
夜明け前
忘れられない
二つの孤独
乱太郎
闇に舞う
孤独二つを
捕まえて
放ってみれば
絆という蝶
月夜見
2011年09月04日
眼光
眼光
あなたは言葉を探す
本棚の深い森に
真昼を横切る猫の瞳に
君は主張を述べる
褪せた選挙ポスターに
迷い犬の張り紙に
人々は見つめ続ける
車に敷かれた猫の白目
保健所に運ばれる野良犬の陰り
私たちは詩を綴る
滲んだ万年筆のインクから
本当に伝えたいのは
青い涙
眼のスクリーンに焼き付けられた
日常化する赤と黒を
鋭利な刃で記録する
行間の隙間に想いを折り込み
文字に祈りを託してみても
ペン先から滲んだ染みが
じわじわ波紋を投げかける
それぞれに与えられた質問用紙
青いインクは「空」を描く
胸にインクを滲ませて
私たちは寂しく停電するだろう
それでも遺さずにはいられない
記憶の森に沈まない太陽
夕映えをに轟く雷鳴
稲妻のような瞬き
全ては
見開いたままで