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2012年01月30日
蛇の恋
蛇の恋
男よ
あなたの肋骨から
私を造り直してください
神より近く
愛より遠い
あなたの喉仏から
二人の過ちの声が
楽園の空を切り裂く
ひとかじりの
林檎の滴から
狡猾な女が垂れ流す
淫猥な蜜
溶ける骨
絡み合う舌
蛇の恋
2012年01月27日
煙草と栞 3
煙草と栞 3
わたし今 君に恋文書いてるの 好きと嫌いの皮肉をまぜて
辛辣な言葉もなくて私達うまくいってる うまくやってる
誰とでも指切りげんまん出来る手を憎んで泣いた日々が可愛い
まだ好きだ なんてメールが来る毎に 読んで楽しむ私は不在
難解な恋愛小詩が届く度 あなたが潜む私のケイタイ
「お前のことムカつく時もあるけれど」続きを言えない君が大好き
恋心メール受信する夜は見せてはいけない涙を送信
アイシテル電波が届く二十四時あなたの肌にアクセスしたい
一夜きり一夜きりっていうけれど あなたの夜は千夜一夜
恋してはならぬ煙草の似合う人 私は栞みたいな薄さ
2012年01月24日
煙草と栞 2
煙草と栞 2
本を繰るくちづけシーンに栞ごとあなたを閉じる瞼が熱い
イニシャルを同じリングに刻んでは独りで嵌める親指小指
ディオールのハーレンハイトの香りから思い出だけがくゆりと煙る
悪戯にはしゃいだ日々を引き出して写真の人はさようならの君
好きですと真っ正面から言えたなら中毒になるわ煙草と君に
指が好き長い煙草を挟むよう私に触れた遠い指先
愛読者あなたが好む恋愛詩そこに私の居場所はあるの
秘蔵書に挟んだ栞押し花に色ありますか薫っていますか
あなたの目いつも虚空を見つめてるそこから私はみえていますか
秋晴れに紅葉が紅くなる前に栞に挟んだ新緑の恋
煙草と栞 1
煙草と栞 1
欲しい人煙草好きの詩人さん愛読書にはいつも栞が
教会の鐘が響くの草原で私の隣に空白の人
煙草吸う指に光るプラチナが私の胸を紅く切り裂く
お揃いのペアリングなど持ってない近くて遠い憧れの人
運命が絡まっていた 赤い糸宇宙の誰かに切断された
愛してる昨日の言葉は今日の嘘 君のすべてが今日でおしまい
街角で見かけた君の隣には背丈も似合う小さな女性
そんな顔して笑うんだ微笑む君はよそ行きの顔
好きなんだ 過ぎた季節にメイプルが色付き始める秋は嫌いよ
あなたの名千回呼んでも振り向かない千一回めがもう呼べなくて
君の指いつも煙草を挟んでる私のこともどこかに挟んで
2012年01月23日
一月
散華
2012年01月14日
花占いとうたつかい
花占いとうたつかい
花占い好きか嫌いかよりわける残酷な私と男と恋と
美辞麗句並べてみてもおいつけぬ綺麗な歌の裏には棘が
うたつかい聞いてくださいこの声を既婚のくせに好きだよ 好きだよ
少女と実験室
スカートをたくしあげたるその夜に一輪挿しの赤い花咲く
理科室に飾られている孤児(みなしご)の瓶に映る私の秘密
星々の悲しみ
星々の悲しみ
茜雲追って躓く泣いた日に頬を零れる流星ひとつ
夜空にも見えない星がひとつある あなたがいない あなたがいない
吹きさらす暗闇の彼方に手を伸ばし掴んだ星は嵐という名
2012年01月11日
夢
夢
夢にもみたことのない
あなたが
夢に現れて
夢にみたような事を
言うので
びっくりして
目覚てしまった
ごめんなさい
あなたは
午前5時の
瞼の奥に
閉じこめられたまま
私と一緒に
夢の途中
2012年01月04日
迎春
【迎春】
あなたを
迎入れたら
お節料理に
春を詰め込んで
折り鶴が運ぶ
御神酒で飛ぼう
いよいよあなたは
宵の酔い口
お布団しいたら
布団の中の鶴と亀は
紅白歌合戦
除夜の鐘が響くまで
わたしとあなたは
煩悩の百八つ目を
数えあげ
浄心
初夢
一富士二鷹三茄子