2013年01月12日
川のほとりで
川のほとりで
川のほとりで
私は石を積んでいます
或いは意志という言葉の危うさを
並べているのかもしれません
あなたは川のほとりを越えたのだから
もう会うことすらないのでしょう
未来の記憶が正しければ
あなたは確か
白装束に薄化粧
薄い紅を引いて箱に入った筈なのに
川のほとりで裸にされて
美しいまま 踝を水に浸して
その川を渡ってゆきました
私は川のほとりで石を積む
あなたの意志を受け継いだ
塔を築いて見せたくて
おかあさん…
寝息が聞こえません
今夜 あなたは川のほとりを振り返らずに
渡って逝く姿を私は見ています
私をおいて
そんなに幸せそうな顔をして…
「お互い生きることにつかれたね」
と
ひとこと 強く言い残した
あなたの意志を引き継いだまま
完成できない塔を
築けないと知りながら
川のほとりで 石を積む
詩と思想1・2月合併号入選作品
投稿者 つるぎ れい : 2013年01月12日 22:22
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