2013年09月16日
海を抱く
海を抱く
あなたが こぼす一粒の海
その海の深さを私は知りたい
あなたが今 眠れないで
泣いているのではないか
赤子のように泣きじゃくる 私の男よ
不眠の闇に
あなたは 私のなきがらを
視たのではないか
暗い空から降る不安を 撒き散らしながら
私の在処を探して あなたは海を流す
ここにいるわよ
水に游がせた言葉で
やさしさを染み込ませ 隙間をふさぐ
追憶の果て
あなたに幾人もの女人が手をさしのべては
泥濘に突き落としただろうか
遠くで赤子の 夜泣きがきこえる
月のない夜
すてられた貝殻の 海鳴りのように
あなたが 私を呼ぶ
波打ち際には雨に濡れたままの貝殻
暗い空からうち捨てられた 夢
誰もがひとりであって独りでないこと
私はそれらを拾い集めて 空へ帰す
広い 腕が欲しいのです
いつか目覚める 生まれたての
あなたを 游がせたくて
私は 両腕で 海を抱く
投稿者 つるぎ れい : 2013年09月16日 23:29
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