2015年03月15日
カラスの行方
東京の地下街から
胸を焦がすような茜空は売ってませんか
そんなことを言ったら 嗤われるだろうが
本当はみんな 自分の町に住む
夕焼け色の切符を手に入れるために
上京しては 行方不明になったことを
私は 知っている
地下街に網羅する
どの線からも 家に帰れる便利な時代に
年老いた両親を姨捨山に
沈む夕日ごと おいてきました
多摩川の水に映える 滲んだ空が
橙色の空と雲の輪郭線を
くっきり仕切って 映してみせる
車窓からは 西日が深く
父母の遺言めいた 眼差しで
私の胸を 斜めに突き刺し追い立てる
見上げると
カラスが一羽 西へ西へと飛んでゆく
森までたどり着けるだろうか
森でも独りで眠れるだろうか
(電車にゆられて どこまでも、どこまでも、、
私は か細い音を連れながら
森へ森へと 消えてゆく
投稿者 tukiyomi : 2015年03月15日 20:02
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