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2012年12月04日
冬の隙間
冬の隙間

スマートには
生きれません
私はいつも
泥だらけの長靴を
履いているからです
偉いことなど分かりません
指先の感覚だけが
頼りです
笑われてなんぼです
けれど
自分の笑顔には
胸を張りたいじゃないですか!
投稿者 つるぎ れい : 12:22
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ひとつだけ
ひとつだけ

赤い花をひとつだけ
身体に隠した赤い花
ひとつだけをプレゼント
あなたのナイフで
花占いの遊びがおわっても
もとには戻らない
女の子の色
ひとつだけ
大切に契られた
私の身体の初めから終わりを
確かめながら
あなたは数える
私の忠誠心
涙を隠して
ひとつだけ
赤く咲く声
夜を裂く
ひとつだけ
投稿者 つるぎ れい : 12:18
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2012年10月30日
サイコパス
サイコパス

愛してはいけない人に恋してる
身の程を知れと言ってるみたい…
空を串刺しにする
伸びやかに しなやかに
聳え立つ あなたは一つの
強い意志
張り巡らされた
全ての策略も
戦慄のシナリオに変えて
街々を飾るひとつの
突き抜けた電波頭脳
私は
あなたの空を
泳ぐ鱗雲
あなたの青さに
染まって消える
過去に流れて逝く
透明な白
だから
私にも 発信して
これ以上の悲劇はないほどの
喜劇のような終わり方
恋しては消えてゆく
秋の高みから
狂った舞台の
サイコパス
もう
愛せないように
殺された
女が墜ちる
空(から)舞台
投稿者 つるぎ れい : 22:53
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2012年08月25日
沈まぬ夕日
沈まぬ夕日

燃えるような
夏の黄昏の向こう側の
グラデーションに
死んで逝く
ぼくらの夏
愛しき人よ
あなたと一緒に見た
あの夏の花火が
今 空に灼かれているよ
「もう
あなたに
会うことはないわ」
夕暮れに
俯いた
あなたの顔
あなたの声
ぼくの西日は
沈まないまま
記憶を焦がして
夜になれない…
投稿者 つるぎ れい : 01:41
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2012年08月03日
月美の涙
月美の涙

海底に眠る君の身体から透明な茎が
月に向かって伸びてゆくよ
月美
悲しいけれど
お前はそれを見ずに
短い夏を逝く
お前が咲かせた花は
月下美人
儚さに背を向けて
薄明かりの部屋で
小さく悲鳴をあげた花
投稿者 つるぎ れい : 20:17
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2012年07月04日
オフィーリア
オフィーリア

オフィーリアよ
お前のその祈りは
誰のためなのか
恋するが故に
狂気を纏い
死して尚
その紅き唇から
なにを語るのか
オフィーリアよ
渦巻く策謀の罠に
堕ちた
儚き夢を渡る少女よ
投稿者 つるぎ れい : 16:46
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2012年06月08日
黒い箱
黒い箱

長持ちする
飾られた言葉が
優しい配色で
贈られて
私を癒やしては
私の代わりに咲いて
枯れて消えた
せめて
絵にかけば
消えないだろうと
毎日描いて
描き終わった頃
花も枯れて
贈り主も消えた
まるで
始めから予知されたように
黒い箱に
収められていたっけ
私は
水彩画の思い出を引き裂いて
柩に涙を刻む
ラナンキュウスの花束を
勿忘草に替えて
黒い箱に閉じ込めた
投稿者 つるぎ れい : 17:51
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2012年05月22日
涙の後始末
涙の後始末

悔しいことも
理不尽な扱いも
みんな溜め込んで
吐き出すことが出来ない
泣いていいよ
話すことは
放すことだからね
でも
鋼鉄の口からは
無言の悲鳴が
響くだけ
投稿者 つるぎ れい : 17:46
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禁色
禁色

白いあなたを
私が神仏の前で堕落せたのだ
私の中に潜む
楽園を追い出された
蛇が
あなたを絞り上げた
零れたあなたの
白い羽の残骸が
私の身体を汚すように浄める
あなたに授けた
獣が片時も
業火の中で
吼える
あの時
強引に
塞いだのは
まっすぐに泣く
あなたの
「愛しています」
きっと
それを聴くと
私は泣いてしまう
自分が
女であると気づいてしまう
あなたを
飼い殺しにして
置き去りにする
自分に
あぁ、
雷がなる
神鳴りが聞こえる
二人の声を燃やすように
投稿者 つるぎ れい : 17:42
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2012年05月12日
抹茶とプリン
抹茶とプリン

少し渋めだけど
憎めない甘さで
ふるえつづける
プリンを
少しずつ優しい
新緑の言葉で
染め上げるから
私たち
ちょいどいい
柔らかさにくるまれて
午後のスプーンに
救われてしまう
温かい眼差しに
溶け出した汗は
滑り出した恋の味わい
投稿者 つるぎ れい : 16:49
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2012年04月25日
自然流通
自然流通

深淵なる夜の
向こう側の空に
数多の風と雲を
数え上げ
ただ流れゆくまま
生きてゆく
在りし日の
あるがままに
あるがままの
自分のかたちで
投稿者 つるぎ れい : 22:26
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2012年04月02日
無題
無題

私は焼けた砂場ではなく
夜中のブランコです
私は冷えたポカリスエットではなく
なかなか落ちない点滴です
父は冬の岩場ではなく
昔 井戸に置いてあった洗濯板です
母は向日葵ではなく
夕暮れに沈む太陽です
町の人は言います
「ああは、なりたくないもんだね…」
町の人は歩きます
私たち家族には
全然追いつけないスピードで
笑いながら
喋りながら
だから
カーテンを閉めます
耳栓をして目隠しして
家族仲良く暮らせるように
墓を掘りました
その墓碑名に刻んだのは
関係者以外立ち入り禁止
投稿者 つるぎ れい : 23:16
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2012年03月09日
サクラサク
サクラサク

あなたは
新しい恋に夢中で
私は
新手の告白に戸惑って
お互いの胸に
サクラ咲く
あんなに私たち
仲が良かったのに
あんなに私たち
憎み合ったのに
徒歩では
到底行けない距離から
離れ離れになった
今頃
冬を越えた蕾たち
発芽はピンクに
電話の向こう側から
サクラサク
投稿者 つるぎ れい : 10:03
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2012年01月23日
一月
一月

Photo. R
冬から零れた
ちいさな春が
笑いながら
福寿草にひかりを
宿す
おめでとう
明けない夜はないのだと
囁くように
告げながら
二月に夜明け前を
手渡して
黎明の薫りを
開け放つ
投稿者 つるぎ れい : 05:10
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散華
散華

華やかに
朱に染まる
花びらは
色はくれない
紅をさす
いつまでも
散らない緑を
恨んでみても
越えられないのが
華の涙か
散華の女
投稿者 つるぎ れい : 05:04
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2012年01月11日
夢
夢

夢にもみたことのない
あなたが
夢に現れて
夢にみたような事を
言うので
びっくりして
目覚てしまった
ごめんなさい
あなたは
午前5時の
瞼の奥に
閉じこめられたまま
私と一緒に
夢の途中
投稿者 つるぎ れい : 22:07
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2012年01月04日
迎春
迎春

【迎春】
あなたを
迎入れたら
お節料理に
春を詰め込んで
折り鶴が運ぶ
御神酒で飛ぼう
いよいよあなたは
宵の酔い口
お布団しいたら
布団の中の鶴と亀は
紅白歌合戦
除夜の鐘が響くまで
わたしとあなたは
煩悩の百八つ目を
数えあげ
浄心
初夢
一富士二鷹三茄子
投稿者 つるぎ れい : 12:16
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2011年12月15日
戸惑い
戸惑い

蒼白い氷雨針
冷めた囲い人の焔
ながされ たゆたう
小さな情熱
唇のような赤などいらないから
小さな棘をひとつだけください
あの人の胸に
小さく刺さるだけの
揺らめきを
投稿者 つるぎ れい : 00:29
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2011年11月11日
チロルチョコ
チロルチョコ

淋しいと言う前に
あ〜ん あ〜ん
大きくあけた口に
チロルチョコ
小さな甘さはね
淋しくならない
魔法の口封じ
投稿者 つるぎ れい : 21:42
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2011年11月10日
木枯らしに泣く
木枯らしに泣く

風に絡まる
褪せた新聞紙
転がるメイプルの葉
靴底から命の寝息
底知れぬ湖の
深い蒼
木枯らしに泣く
紅葉を宿した瞳から
七色の哀しみ
一粒
投稿者 つるぎ れい : 21:46
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あなたに
あなたに

あなたに
あげれるものがあるとしたら
散りゆく薔薇
風の流れをゆるめて
まだ紅い華のまま
頑な信念のように
あなたの氷山の中で
色も形もそのままに
凍えるように
閉じ込めて
胸の芯で
咲かせてください
もう
あげられるものなど
とうに無くした庭に
一輪の薔薇が
ぼとりと土に鎮む前に
投稿者 つるぎ れい : 21:41
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2011年10月12日
たそがれる
たそがれる

経ち ゆかば
秋 きたり
経ち ゆかば
飽き きたり
投稿者 つるぎ れい : 23:58
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2011年09月23日
ネーサンが行く
ネーサンが行く

あたいのカラダで
あんたが触れてないとこなんて
ないんだからね
知ってるくせに
相変わらずの
指使い
変態!
変態!!
変態!!!
そんなに
攻められちゃ
慣れた
あたいだって
あたいだって…
イクゥ〜〜!
投稿者 つるぎ れい : 21:23
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2011年08月24日
散華の夏
散華の夏

零れた白い夏が
月に還る
晩夏の名を呼びながら
新たな季節に
淫らに燃えて
白肌は紗の薫りを
遺して
西国浄土の夢を
珠にして
夜を数える
泥濘から残されたのは
夏の名残りの
裸の芯
蓮(はちす)
十六方位に
光を宿していながらも
花弁は
珠玉の涙を浮かべた
薄幸の女
投稿者 つるぎ れい : 20:26
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2011年08月16日
セクサロイド
セクサロイド

浴室に幽閉された
モノクロの私は
未完成でありながら
あなたに飼われるのを
待っている
誘うように哀願する
【色が…欲しい】
乾いた喉を裂いて
溢れ出したコトバ
堪え切れぬ涙を
身体中に浴び
まだ
独り
濡れたままで…
投稿者 つるぎ れい : 01:18
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2011年07月29日
胸には花を
胸には花を

蒼白いか細い腕には
赤黒い注射の跡
車椅子のおじいさんは
動かなくなった足と歴史を語り
忙殺されるサラリーマンは
上司の嫌味に
絡まれ目がまわる
今日もどこかの産婦人科で
胎児がひとり
ゆっくり流れた
人の心には
いつも美しい花が咲いていると
信じたいから
涙で霞んでも
消えないコサージュを
あなたの胸に
投稿者 つるぎ れい : 01:04
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2011年05月26日
壊れたベンチ

壊れたベンチ
あなたの笑顔で
赤ワインと白ワインをあけた
公園の片隅ベンチ
もう
あなたの笑い声
聞けなくなって
久しく
ここであなたを待っていたのは
私だけじゃなくて
独り 涙に
押しつぶされた
壊れたベンチ
俯く顔をあげて
空を見上げると
あなたの声が降ってきて
雨が頬を伝う
もうあの椿は咲いてはいないのに
赤い思い出が詰まって
壊れたベンチ
みっともない私の
夢と優しさに騙されて
壊れたベンチ
投稿者 つるぎ れい : 02:53
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2011年03月23日
陰気くさい
陰気くさい

昔から猫は陰の気を好む
なぁ
いつもはそんなに懐かないくせに
俺の腹の上で寝るほど
今の俺って陰気くさい…?
メスネコめ
悔しいけど
良く
分かってんじゃん
投稿者 つるぎ れい : 18:02
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2011年02月26日
未完成の・・・
未完成の・・・

私は身体に
金色の蛇を飼っています
嫉妬の流動体が
這いずり回る
未練と栄光だけが
支配する半身
私は
紫の鱗の分だけ
秘密を持ちます
爪先形の秘密たち
肌を締め付け
こびり付き
過去の恋を
絞りだそうとする
屈折し挫折した
絵文字のような
サヨナラの冷血さ
私は表情を隠したまま
唇を閉ざし
誰にも知られぬよう
あなたを
アドレナリンから
追い出そうと足掻きながらも
滲み出る終わった恋に
まだ
涙がでます
私は上手に苦悩する
だから
この想いよ
最期まで
未完成であれ
未完成であれ
投稿者 つるぎ れい : 00:24
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リリー
リリー

お互いに惹かれ合う
レース糸でも
こんなにも
まばらなモノたちだらけで
一つになろうとしている
ねぇ
リリー
どうか教えてよ
こんなにも
違えた道を選びながら
あなたは
誰と細くても永い糸を繋げて
多彩な作品を
完成するのだろう
ねぇ
リリー
レース糸もリリーって呼ぶ国があるんだよ
そして
俯く白百合も
リリーと呼ばれる
だから
気付いてしまったんだね
僕たちは
同じ顔で編まれた
同系色を覗き込んでは
きっと
自分だけを
愛していた
奥底に秘めた
絡み合う解れに
目を背けて
君を
愛していた
君だけが
僕の完成品
君しか
愛せなかった
リリー
白百合よりも
たおやかで
繊細な糸のひとよ
投稿者 つるぎ れい : 00:18
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月華の祈り
月華の祈り

まだ
薄紅の蕾のまま
あなたの指先の呪文に濡らされて
開いてみたい
女の子から
女という華に
狂い咲く闇夜の怖さ
しんしんと
冴え渡る
月夜に冷気
絡み合う四肢
幾度も 幾度も
甘い血と蜜を請う
あなたへの微熱に
苛まれた私
身体
柔らかな曲線を
くねらせては
その長い指で
肌 薄紅に染め上げられ
動きに合わせて
私 鳴く
どうか
この濡れそぼる華を
卑しいと
そのまま
捨て去らないで
いてください
あなたとなら
一輪挿しの
薔薇色の夢
永久に
朽ちるまで
投稿者 つるぎ れい : 00:12
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2011年01月13日
デメテル
デメテル
髪長く麗しき女(ひと)
豊饒の女神
冥界に愛娘
攫われ墜ちて
冬きたらするは
哀しみのデメテル
愛娘
柘榴の実一つを
喰はざらましかば
我はこの世に
冬を創らましや
彷徨える荒野に二人
娘と共に
風に吹かる
我が元を去りし
娘は還らず
しからば娘の
春帰りきたらむを
アイリス畑にて
我は待たなむ
投稿者 つるぎ れい : 00:26
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2010年10月26日
花の降る午後
花の降る午後
<strong>君の為にしつらえた
此処は楽園
天然極彩の夢の柩
紅は君の爪先に
オレンジはぬばたまの髪飾り
白いパステルで
君の肌を塗り替え
ショッキングピンクの恋をする
鮮やかな薫に酔いどれ
君は永久の眠りに
犯される
ひとひらひとひら舞う花びらに
大輪を歌う花言葉に
僕は【くちづけ】と名付け
甘い毒を君から吸い込む
ぬるい真昼
透き通ってゆく
君と共に
天に召される
花の降る午後
投稿者 つるぎ れい : 17:22
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2010年10月22日
花陰の人へ
花陰の人へ
赤い首輪の中に
おさまり切れない情熱が
紅黒くはみ出しながら
僕の芯に契約書を描かせる
偏愛の行方に身を任す女
あなたに呪縛の枷を
美しい人よ
シャンデリアの下の
飼い猫よ
唇から鳴き声
拘束から吐息
精神的陵辱すら
青い悦楽
ターコイズの
川の流れの真ん中で
僕は贈り物の天然石を
つなぎ合わせて
世界に境界線を引く
僕らが選んだ檻の中で
「愛してる」の愛憎劇は
世界を震わせる
さぁ
咲き誇れ
偏愛の火花よ
枯れることを知らない
彼岸花のように
激しさに染め濡れた
花陰の人よ
投稿者 つるぎ れい : 20:24
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2010年10月05日
錯乱
錯乱
あなたを
幸せの象徴
のように思ってた
私の
真ん中に幸福な未来
私の
真ん中に満ち足りた世界
あなたの真ん中に
砂上の楼閣
あなたの真ん中に
赤いドライフラワー
描けない夢
届かない声
穏やかな虚構
二人を隔てる透明な膜
触れ合う事さえ
赦されない
かつての日常
二人の真ん中に
飾られた
空白の錯乱
投稿者 つるぎ れい : 04:22
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空
空
雲行きは
やっぱりあやしい
夏の恋は
稲妻のように
私の心を痺れさせたまま
遠い子宮に隠れてしまった
私は
期待の灯火だけ
残して
今日も
独り
暗闇に沈む
投稿者 つるぎ れい : 04:07
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2010年09月30日
くゆり煙草
くゆり煙草
あなたの指先が
私を知ってから
煙草の煙りのように
濃く 薄く
私は踊り吐き出される
身体があなたを知らなければ
早く灰皿で
ちびてくたびれる
私を消していって欲しかった
煙草はくゆる
私は貴方の匂いが染みついた
古びたシャツ
いつまでも
いつまでも
くゆり
くゆり
と
貴方の薫りと指に
挟まれて
踊らされながら
炎は独り涙で消えていった
投稿者 つるぎ れい : 06:42
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2010年09月26日
青い鳥
青い鳥
夕闇から一条の想いが
青空にチョークで
夢の在処を配達する
昔 アスファルトに落書きした
まる
さんかく
しかく
には
足形と無邪気なままの笑い声
置いてけぼりの故郷は
空の蒼さに溶け込んだまま
鉄線が張り巡らされて
帰らず終いになってしまった
ちいさな私の青い鳥
投稿者 つるぎ れい : 22:41
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2010年09月18日
淨円月
淨円月
踊り疲れた御霊たち
各々の宴を語り合い
清き月に照らされて
魂の行方に酔う
月 白く
鼓動 鋭く
枝 黒く
来世浄化の
メッセージは
柔らかな光降り注ぎ
あなた方の元に
安息の月日を
召還し
忘却の岸辺へ
記憶運ぶだろう
鎮魂を謳う青い闇
空には炎の
真白き円月
淨円月
踊り疲れた御霊たち
各々の宴を語り合い
清き月に照らされて
魂の行方に酔う
月 白く
鼓動 鋭く
枝 黒く
来世浄化の
メッセージは
柔らかき光降り注ぎ
あなた方の元に
安息の月日を
召還し
忘却の岸辺へ
今日を運ぶだろう
鎮魂を謳う青い闇
空には炎の
真白き円月
投稿者 つるぎ れい : 20:48
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錯乱
錯乱
あなたを
幸せの象徴
のように思ってた
私の
真ん中に幸福な未来
私の
真ん中に満ち足りた世界
あなたの真ん中に
砂上の楼閣
あなたの真ん中に
赤いドライフラワー
描けない夢
届かない声
穏やかな虚構
二人を隔てる透明な膜
触れ合う事さえ
赦されない
かつての日常
二人の真ん中に
飾られた
空白の錯乱
投稿者 つるぎ れい : 20:40
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2010年09月13日
くれる
くれる
うなだれた向日葵のように
へそを曲げて点かない街灯
どんなに走っても
追いつけない虹の国
アスファルトの向こう側くらいには
頬を染めて待っているから
落書きのような
曖昧な恋の約束を抱いて
思い出に追いつけないまま
色褪せた
今日が暮れゆく
投稿者 つるぎ れい : 20:39
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2010年09月12日
終焉の子守歌
終焉の子守歌
夕暮れを
暗黒の腕が掴もうとして
色彩が地平線の彼方から
あっかんべえをする
此処までおいで
傲慢と虚飾に満ちた
地球の裏側を裏返せるのは
一枚の瑠璃色の夢
切り取られた
シャッターのワガママ
こっちへおいで
遠い千夜一夜のの
子守歌を教えてあげるから
今は薄く照らされて
世界の終焉に
恋い焦がれ
泣いたらいい
投稿者 つるぎ れい : 23:44
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2010年08月01日
千年の樹影
千年の樹影
祠に眠る千年皇女
逃れ 逃れて荒御霊
道連れにした偽比女と共に
哀しみを夏の影に宿して
この社に埋葬された
社の神は男神
比女の眠りを誘い
荒神の腕に抱かれ
魂は静寂の星になる
古の御霊鎮めに
千年杉を植え
古刹に濡れた
石板の赤い名に瞼閉じては
私は 思い出ごと
一枚の絵に
すべての歴史を
閉じ込めた
投稿者 つるぎ れい : 03:03
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2010年04月07日
僕の名は
僕の名は
記号なのかと訪ねられ
黙ったまま
あなた方の
夜を見守った
木偶の坊と言われて
突っ立ったまま
季節は過ぎた
寒くないのかと怒られて
寂しいと答えて
酒を注がれた
だけどなぜか
熱烈な
阪神タイガースファンには
人気者
冴えない癖に
目立ちたがり屋の
僕の名は
「私」と
呼ばれているらしい
投稿者 つるぎ れい : 12:00
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春の高さ
春の高さ
空を刺す電柱は
見上げる私に
春告鳥の羽ばたきを
聞けよ
燕の囀りを
英訳せよと
投げ掛ける
蕾 開花し
空 高く
鳥 歌い
私 詩を紡ぐ
光のみ射す
青き空を
串刺しにする
焼けた肌の午後の
春の高さ
投稿者 つるぎ れい : 11:56
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2010年03月30日
爆弾発言の下に
爆弾発言の下で
桜の木の下には死体が埋まっているんだよ…
爆弾発言をした文学者は
知っていたんでしょうか
昔 日本に
桜の下に死体が埋まっていた歴史を
投稿者 つるぎ れい : 07:47
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2010年03月26日
松ちゃん
松ちゃん
昔な この井戸に嵌まって
死んだ子供がおるんよ
だから
儂はな ここで眠る松ちゃんの為に
盛り塩と菊を祥月命日に
供えるんや
そういってたお祖母ちゃんも
八年前に亡くなった
私たち家族は
この井戸の水を飲み
この井戸の水で風呂を沸かす
見えない家族が
もう一人くらい
身体に棲んでいる
投稿者 つるぎ れい : 20:14
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2010年03月21日
春の涙
「春の涙」
桜が泣く
花びらを散らしながら
あなたの才能を狭めたと
僕は桜を恨まない
この手で掬えるのは
君の思い
この手で救えるのは
君の未来
だから
文字はいらない
伝える言葉が壊れても
君のそばにいられるなら
それはなんて
美しい春の涙
投稿者 つるぎ れい : 07:32
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雪の花
「雪の花」
貴方は瞳の虚空を映して
移ろいゆく景色に
粉雪の行方を占う
花は二つ
咲いたら黙る
咲いたら声が枯れる
貴方の温かさに
救われながら
花たちは
駆け込み乗車のような恋を
乗車券も持たずに
楽しむつもりだ
全く
かまくらの温かさも知らないくせに
春に向かって 花二つ
泣きながらヒソヒソ話
投稿者 つるぎ れい : 07:22
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2010年03月18日
輝き
輝き
私が貴方に与えた
唯一無二の
名に恥じることなく
唯、そのままに
有終の美を
世界に知らしめる
光たらんことを
祈る
貴方は
沈まずの太陽
私は
それに魅せられた
夕暮れの向日葵
貴方は天を焦がし
私は
頭(こうべ)を垂れ
土に涙を落とす
夏の夢は覚めず
また
夏の恋も然り
輝きて
輝きて
唯 輝きて
投稿者 つるぎ れい : 00:44
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2010年03月17日
雪の華 (恋歌)
雪の華

舞い降りて ティアラみたいな雪の華 薫りは君だ そっとくちづけ (乱太郎)
降り積もる温もりの夜に身を委ね 絡み合う恋 ひっそりと咲く (月夜見)
咲ききって 激しく咲いて揺れる茎 時の雫に 溺れ流れる (乱太郎)
白き地を 紅に染めて咲く華は 吹雪を喚んで 鮮やかに舞う (月夜見)
風誘い 白鳥が舞う月明かり 話すことも歌うこともない (乱太郎)
風強く 髪は乱れて芯は濡れ 挿した花にも痺れはとれず (月夜見)
雪の華 枯れることなく凛として 恋の畔で君を見つめる (乱太郎)
雪の華 見つめ合う視線は同じ 触れることなく褪めることなく
(月夜見)
※「月夜見」は、宵野 倭の昔のハンドルネームです。
あしからず・・・。
投稿者 つるぎ れい : 10:08
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2010年02月22日
青い闇
青い闇
退院できるというのに
なぜ月は
南天でぼやけているのか
窮屈な檻の中
眺めた月光は弱く
消灯は間近
退院できるというのに
この木々を枝を揺らす
風の騒がしさはどうだ
街灯の灯を
揺さぶる胸騒ぎの雑音が
体を冷やす
退院できるというのに
夜間の救急室は
ランプが消えない
一人生まれれば
一人死ぬ
誰かの大きな謀り事が
毎日企てられているのは何故だ
退院できるというのに
光 弱く
影は濃く
鼓動 鋭く
風は 冷やけき
退院できるというのに
私は
ずっと
悪魔がクスリと笑って
小刀をぶら下げた
青い絵を
一生懸命 描いてしまう
投稿者 つるぎ れい : 20:26
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2010年01月09日
行方不明の激情
行方不明の激情
千切れたこの腕に
愛欲の勝利を
自らを傷つけて
望んだものを手にする瞬間は
いつも
残酷で
ひどく…
愉快だ
投稿者 つるぎ れい : 10:27
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2009年12月06日
未完成
未完成
玉虫色の瞳
何 映す
欺瞞の世界か
思惑にとらわれた
恋の行方か
その瞳すら
狡猾の輝き
蒼き陰は
秘密を含み
鮮やかに
朱に交われば
身を隠す衣
お前の傾いた
価値観の習性は
直らず
ただ 嘯く装いで
予知夢を疑い続ける
ならば
五感で
映るものの
虚偽を破れ
六感の
スピリチュアルなど
捨て置け!
或る女の
インスピレーションで
描かれたお前も
作者と同じく
また
未完成
魂を
魂を
授ける日まで
今は
楽園を
待て
投稿者 つるぎ れい : 12:03
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約束だけ
約束だけ
あおいカオスの渦が
二人を呑み込み
流れにおされ
最果て
煙りたち
消え行く魂
混沌の龍泉に
私たちは
お互いの
命の表現を続けながら
来世を信じ
哭きながら
言葉に
溺れ
傲り
酔いつぶれ
飲まれ続ける
時もなく
尺度もなく
肉体も
砂塵に消え
想いは溢れる
ありきたりな詩
愛する君よ
その魂が
「私」と「信」の記号を
知覚していたとしても
未来邂逅は
いたずらに
ままならず
夢現に
微睡み
揺られ
奈落へ墜ちるだろう
かつて詠いし
たまゆらの恋は
浮遊を知らず
微笑みて
沈みゆくのみ
だから
今は
「在りし日」の
笑顔の
君との
約束だけ
投稿者 つるぎ れい : 10:12
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2009年10月31日
もよう
もよう
これは あのひとの心模様
これは あのひとの人生模様
そして これが私の病名
恋人の声はマゼンダのように鮮やかで
「信じてないけど 愛しているわ」
あの人の瞳は
コバルトブルーの彼方の哀しみを見つめていて
「折れた翼では もう飛べないよ」
私は有頂天の狂気の臭うマスタードで
「嘘でも褒めてくれたら 裸で踊ってやる」
赤の虚無と青の哀しみと黄色い狂気は
混りあわせると
真っ黒になるんだぜ
私の未来の先の先
今は鮮やかな人生模様と
ひけらかし
餌より頭を撫でて欲しい
捨て犬の気持ちを
おくびにも だすな!
何度も言い聞かせながら
狡猾に配色していくコトバの織物
為平さんの配色って
サイケデリックですね!
ニルバーナの曲が聞こえるようです♪
何も識らない青年
何も知らない若さ
アンタのその
何でも知ってるような無知さが
私は逆に 羨ましい
投稿者 つるぎ れい : 13:22
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半端の瞳
半端の瞳
君の一番好きな酒は
マーテルのコルドン・ブルー
ブランデーの中の一級品
なのに
僕にねだるのは 半端物の「桂花陳酒」
ただ甘いだけの安いリキュールを
君が好むのは
僕の瞳(め)の色が
この酒と同じ 色素の薄いシトリン石だからと 笑う
琥珀の鏡に笑顔がうつると
メラニンの少ない僕の瞳(め)は
眩しいものが苦手で
君が綴った掌編小説に目を移し 後ろから君を抱き締めながら
一節を囁いた
君が僕の瞳色 全てを飲み干して
午前3時の夢魔と戯れている頃
無粋な天使が夜会に現れ
「ハリネズミ同志の恋は破滅する」
と
半端な予言を残して 飛び去った
エゴイストの香が充満する部屋
彼女は何も知らない
ただ明日も僕の色を飲み干す夢物語に抱かれているのか 小さく 喘いだ
投稿者 つるぎ れい : 13:19
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2009年10月19日
澄んだ空のかたわらで
澄んだ空のかたわらで
>
貴方は夕暮れまえの
澄んだ空のような哀しさに
言葉を連ねて
独房で小さく笑っている
涙のようにあふれる貴方のメロディーに
多くの人が救われていることも知らずに
秋空に影を落とすのびない電柱
本当は
どんな時だって大丈夫なんだよ
夕焼けに染められて赤く想いを馳せてもいいんだよ
ちゃんと月がかたわらで
貴方の秋空の暮れゆく淋しさを照らしているから
安心して
その翼を恥じないで
天上の高さを謳いつづけても
誰も貴方をせめたりしないよ
投稿者 つるぎ れい : 23:13
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2009年09月18日
彼岸
彼岸
何人が
この朝方を見れずに
旅だったのだろう
何人が
この柵を飛び降りたのだろう
私の
友達ふたりが
手招きする
こっちへおいでよ
自殺とは
自由に生きれない
人間の特権だ
この窓枠の
向こう側に
彼岸はあるのに
私は
枠と柵の分岐点に立って
道を選べないまま
鳴らない
ナースコールを押し続けている
投稿者 つるぎ れい : 03:32
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病院
病院

できるだけ
楽な世界に 逃げ込んだつもりが
ヤマイの重さと
夜勤の辛さに追われた
愛の飢餓者と
背徳者の女の群れ
きれいな白い箱の中
開いて見ろよ
輸入品の輸血が溢れて
こびりついてどす黒く心を染め上げる
糞尿の臭いと共に食事しながら
今は亡き母を求める
生き延びる事を余儀なくされた
老人のひ弱な叫び
人権という言葉に
哲学すれば
暇人の賜物と忙者が
高笑い
チンケな小娘の戯れ言は
帰る道さえ喪失させる
手のひらいっぱいの忘却の薬
眠れ!
眠れ!
言い聞かせなければ
いけなかったのは
暗闇の合間を縫って
響くナースステーションでの嘲笑い
「朝まで死んだふりをしなければ!」
だから
美しいものを
描きたい
昨晩の課長ナースが 放った
人権侵害の言葉を
忘れるためにも
自分の心にも世界にも美しい花を咲かせるためにも
上出来とは
決して言えないが
今は
これが精一杯
夢想する乙女よ
お前の閉じた瞳の奥が
美しいことに
想いを馳せていたら
私は 満足だ
投稿者 つるぎ れい : 03:17
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2009年09月17日
墓標
墓標
花は二度咲き
一度目は土から芽吹き
二度目は切り取られて
芸者に変わる
紡ぎだす
淡い光の旋律を放ちながら
ますます穏やかに
たおやかに しなびれて
華の命に幕をおろす
アンコールには答えられないくせに
心を癒した春風の色彩の奏で
あなたの隣に
小さな紫の墓標を置こう
人の手では表せない
あなたがたの優しい笑顔は
二年前のスケッチブックに
生きたまま記されていた
限りない花たちの春眠の墓標
投稿者 つるぎ れい : 17:43
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2009年09月13日
肖像画
肖像画
旅立つ
貴女の為に
何か贈ろうと思って
花屋に行ったら
赤薔薇一本350円もしやがるねん!
よって
一番廉価な家にある
ピンクローズを
百均の色鉛筆で七色に染めたった
どない?
あの日の「虹」みたいな花になったやろ
私は貴女の顔も姿も
見たことがないけど
これが貴女の肖像画
私が描いたんは
貴女の姿やないで
貴女の心の形と色や!
手土産に
一本だけの特別製を
もろてくれ!
投稿者 つるぎ れい : 16:09
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2009年08月30日
月神の涙
月神の涙

海底に眠る君の体から透明な茎が
月に向かって伸びてゆくよ
月神(つぐみ)
哀しいけれど
お前はそれを見ずに
短い夏を逝く
お前が咲かせた花は
月下美人
儚さに背を向けて
薄明かりの部屋で
小さく悲鳴をあげたような花
投稿者 つるぎ れい : 12:52
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1970年01月01日
空

空
雲行きは
やっぱりあやしい
夏の恋は
稲妻のように
私の心を痺れさせたまま
遠い子宮に隠れてしまった
私は
期待の灯火だけ
残して
今日も
独り
暗闇に沈む
投稿者 つるぎ れい : 09:00
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