« 仲嶺眞武、四行詩「宇宙」 びっくりするほど好きな詩 | メイン | 高見順「出発」 びっくりするほど好きな詩 »
2010年12月13日
佐川英三「蟹」 びっくりするほど好きな詩
蟹 佐川英三
ふりかざした小さな蟄(はさみ)に
荒涼たる海が迫っている。
蟹はその傲慢な甲羅をふるわせて、
怒りに燃えている。
垂れ込めた雲。
閃く稲妻。
何か、
異常なるものが来たるらしき、
晦冥のとき、
砂は、
洗われ洗われて
若い静脈のように濡れている。
1949(昭和24)日本未来派27号
投稿者 yuris : 2010年12月13日 15:51