6月17日の夢(巡礼)

 某現代詩人会主催の大がかりな詩祭が今年はとてつもなく変わった場所で開催された。ローマかギリシャの古代遺跡を思わせる、古い石造りの野外劇場で行われたのだ。ぼくは最初、左側前方のステージに近い席に見知らぬ女性といっしょに座っていたが、「あなたはここにいるべきではないのでは?」と彼女に言われ、立ち上がってほかの席を探しに行く。しかし、4〜5人ずつ単位に仕切られた席は満席ではないとしても、どの仕切にも必ず何人かが座っていて、空席も帽子が置いてあるなど誰かがいる気配である。これではどこにも自分の居場所がないと感じて、会場の外に出ると、会場の外壁を登っていく石の階段を見つけた。それを登ってみると、二階席・三階席の背後からステージを見下ろせる、会場の一番奥の一番高い場所に偶然出ることができた。
 
 会場を出たところで、学生時代の詩のサークルで先輩だったO氏をはじめ、何人かの仲間と出会い、この少し先にパゴダのようなものがあるから、そこまで行こうということになる。地図を頼りに出発するが、道は迷路のようだし、異様な生き物や盗賊に襲われたりして、冒険を重ねるうち、メンバーはだんだんバラバラになる。どうやらここはイスラエルとパレスチナのせめぎあうあたりらしい。ひとまず路傍の小屋に入り込み、一息つこうとする。ふと気がつくと、手に黒い大きなバッグを持っているが、一番大切なものを入れてあるリュックを持っていない。ドキッとする。だが、よく考えると、リュックはちゃんと背中に背負っていたのだった。
 夕方になり、ぼくらは宿に泊まることにする。バラバラだったメンバーが再びここに集結する。宿はフローリングの部分もあるが、部屋の部分は畳敷きだ。ここはシモンという都市だと聞いているが、こんなところにも日本人旅行者のための宿があるのだろうか? ぼくらのリーダーはもうかなりの年だと思われる関西弁をしゃべるおばあさん。夕食前に彼女の日本での苦労話を聞いたり、お互いに身の上話をしたりする。部屋の一方は池に面している。というより、この宿は池の上に建てられているらしい。反対側は中二階のように高くなっていて、その窓からは大きな広場とそこから伸びる車の走る街路が眼下に見下ろせる。どうも建物のこちら側は、この広場の上に建てられているらしい。もうすぐ夕日が沈む。さあ、食事をして、眠ろう。明日はようやく最終目的地のパゴダに巡礼することができるだろう

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