10月16日の夢(ガラス張りの家)

 新しく引っ越した家は人里離れた丘の上にある全面ガラス張りの家だ。壁は透明だが、その向こうに今までのような隣人たちの暮らしはない。気がつかなかったが、それがぼくたちの暮らしをいかに元気づけていたかを、今になって思う。
 二つある部屋は天井も床もすべて純粋な白。一切の家具はなく、ただ床からキノコのようにつくりつけの大小のテーブルが生えているだけだ。ぼくは顔を洗おうと思うが、洗面台があるわけでもない。ボウルの中に入れたお湯をそうした小型のテーブルの上に運び、顔を洗い始めるが、お湯をはねちらかすのもきれいな床を汚すようで、はばかられる気がする。
 でも、夢ではまだ古い家の夢を見る。覚王山の自宅まで行ってくれると思って乗っていたのに、バスは一つ手前の池下から動こうとしない。ここでこのバスは終点になったらしい。運転手や車掌に気づかれないよう、ぼくはバスからそっと降りる。

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