3月4日の夢(人間爆弾)

 ぼくらは皆、敵によって人間爆弾にされている可能性がある。誰が敵で、誰が味方かもはっきりしない。最初はぼくらの言葉を信じなかった警察も協力して、しらみつぶしの警戒網が張られている。金属ネットの前で警戒していると、何かがぼくらの背後で起きた。一斉に仲間たちが、そちらへ走り出す。だが、全員がそちらへ走ると見せかけて、半分はすぐにネットに戻る。すると案の定、ネットの向こうにいた親子連れなどが一斉にこちらに向けて走り出すところだった。やはり彼らは敵だったのだ。
 先ほど何かが起きた現場へ行ってみる。海岸でやはり人間爆弾が爆発したのだった。「長崎」という言葉に反応して爆発が起きたと、みんなが言っている。だが、事実は「若い」という言葉だったという。
 Mカメラマンがおびえながらインスタレーションの作品を制作している。彼は「若い」という言葉を自分が言ってしまうのではないかと不安なのだ。だが、そばにいる女性がキーワードは「コラボ」という言葉に替わったと語って、彼を安心させる。Mカメラマンの作品はついに完成した。スクリーンの美しい光の点描が輝いている。本当によかったと思う。
 これからぼくは奈良へ旅行に行くことになっているが、今は豪華な座敷で開かれている詩の集まりに出席している。ぼくはなぜか一度外に出て、それからまた豪華な襖のような和風の横開きの扉を開けて、中に入るとゲストの舞踏家・村田氏がもうそこにいて、練習を始めていた。と、思うと、それは村田氏ではなく、ゲイの男だった。彼は日本酒の一升紙パックをこぼしながら、ごくごくと飲んでいる。その紙パックを投げてよこすので、受け取るが、まるで雲のようにふわふわと軽い。「軽いね」と、ぼくは驚いて言い、ゲイの男に投げ返す。すると、いつのまにか座敷は市街電車になって、疾走している。「えっ、この座敷は電車になるの?」と驚きの声を上げると、ゲイの男もびっくりした様子。外を見ると、ほかにも二台の電車が走っているので、それらの運転手に「これは何行き?」と、ぼくは尋ねる。彼らは知っているのか知らないのか、「さあ、どこ行きだろ?」と言う。ぼくとゲイの男は「駅行きにしないと承知しないからな」と運転手をおどす。

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