11月25日の夢(老人になる)

 ぼくは老人で、ホテルに一人で泊まっている。これからほかの老人客と混じって、団体でどこかへ行くことになっている。身繕いを一人でする自信がないので、部屋付きの中年のメイドに手伝ってもらう。そのため、ドアを開けておいたら、ほかの部屋の老人が入り込んで、身繕いを始めた。「ここはぼくの部屋だから出ていってくれ」と言おうと思うが、思いとどまる。部屋の中は暗くて、散らかっている。腕時計を探す。メイドが慌てて「なんですか」と聞いてくるが、自分で見つけて腕にはめる。ポケットを探ると、汚れたちり紙が何枚も入っている。捨てたいが、どこに捨てればよいだろう? 小さな鍵も指先に触れた。きっとこの部屋の鍵だろう。
 身繕いを終えて、部屋の外に出る。どこかで子犬がメロディーのある歌をうたっている。既に引退した元編集長のKの声が背後から聞こえる。「今日もワワワン、ワワワン、ワワワン、ワッワワワワワワンという声が聞こえるわ」。それに対して、もっと若い女性の声が「あれはそう聞こえるだけで、そう鳴いているわけではないのよ」と答える。
 カメラマンのIに現代美術館に連れていってもらう。若い人たちで館内はいっぱいだ。入り口には確かナムジュン・パイクのインスタレーションがあったはずだが、そうではなく一面に落書きされた学童用の机がいくつも二段に積まれている。内部も美術館というより古道具屋のようで、がらくたがいっぱいだ。うろうろしていると、カメラを構えて記念写真をしているグループの中に紛れ込んでしまい、慌てて場所を移る。この中は不案内で、Iだけが頼りなのだが、Iだと思った男はもっと背の高い女性に抱きしめられている。ということは、あれはIではないのだろう。迷子になりそうな不安に襲われる。だが、Iはすぐそばにいて、「このへんを適当に見て回りましょう」と、ぼくににこにこ声をかけてくれる。

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