6月20日の夢(巨大オープンセット)

 アメリカに移住したぼくたち日本人の集団居住地を、次々と謎の殺人事件が襲う。青い布のカーテンでおおわれた縦長の箱の中に首を突っ込んだ女性が、中に青年の死体を発見して「ぎゃーっ!」と悲鳴を上げる。だが、中からその当の青年が出てきた。ただ眠っていたのを、女性は見間違えたのだろうか。それとも、彼は生き返ったのか?
 ともかく、これが最後のクライマックスシーンで、ぼくらが出演していた映画は終わった。スタッフたちとぼくら出演者は和やかに言葉を交わし合う。セットの天井を指さして、大道具の担当者が言う。経費を節約するため、結構安物の材料を使っているのだと。なるほど。よく見ると、天井の大きな梁と見えたのは、プラスチックのようなぺかぺかの素材で作られたまがい物だ。セットは居住地全体が壁一面にパノラマ状に開いた窓から見渡せる、巨大なドーム状の建物である。居住地は同じ形をした一軒家が、無数に建ち並ぶスケールの大きなオープンセットとして造られている。さすがはハリウッドの大作映画だ。この居住地は狛江(アメリカのはずなのに、なぜかぼくの住んでいる町)という想定だが、窓から見える景色はあまりにも壮大で、かえってうそっぽい。きっとアメリカの砂漠地帯に建てられたセットなのだろう。
 そこでまた一騒動が持ち上がった。海賊が襲撃を予定している場所の一覧表が入手されたのだ。そこにいた老人の一人の顔がみるみる青ざめていく。彼の経営するここから遠く離れた場所にある会社が、襲撃場所に含まれているからだ。

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