6月24日の夢(朗読会)

 円形の建物の半円の部分が屋外ステージになっている。そこでオーケストラをバックに、4人の詩人が自作詩を朗読することになっており、ぼくはその3番目に出演する予定だ。しかし、事前に何の準備もしておらず、ただ段ボールに自分の詩集などを入れて持ってきただけである。
 既にプログラムが始まっており、ぼくはようやく建物の裏の半円の側にある楽屋に、自分の段ボールを開けに出向く。ところが、開けてみると、入っているのは殆どがぼくの詩集でも掲載誌でもない、知らない書物だ。探しても探しても自作が見つからない。楽屋で困惑していると、係の人が「出演しなくてもいいのか?」と、ぼくを呼びに来た。しかたがない。適当に段ボールの中から小さめの本を取りだして、ステージに向けて走る。
 服を着る暇もなかったので、黒いズボンをはいているものの、上半身は全くの裸だ。そのまま犬かオオカミのように背中を丸め、狼男のような感じでステージに駆け上がる。雨が降ってきたせいか、聴衆は意外にまばらだ。皆、ぼくの半裸で獣のような姿に驚きの声を上げる。手にした本の適当なページを開けて、朗読を始めるが、どうもそれはぼく自身の作品ではないようだ。でも、どうせ聴衆にはそんなことは分からないだろう。風邪をひいたのか、いつもの自分とは似ても似つかぬ声だが、ハスキーながら高い声もちゃんと出る。上々の朗読を終え、再び獣のように背中を丸めて、一目散に楽屋に駆け戻る。

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