8月1日の夢(少年愛と火山)

 ぼくは取材の仕事で、頭を丸刈りにした男の子に会っている。戦後によくいた男子小学生のような感じだが、年齢はよく分からない。尋ねても、けっして答えようとしないのだ。子どもだと思うが、もしかしたら既に青年に近い年齢なのかもしれない。というのは、彼は同性愛者なので、そのために少年ふうの格好をしているのかもしれないからだ。彼を見ているうちに、ぼくも同性愛の相手として、彼に欲望を感じ始めた。ぼくは彼をものかげに連れ込む。
 次の朝、彼の家の玄関から、その兄弟たちが大勢出てきて、一列に並ぶ。ぼくと少年もものかげから出てきて、彼らに加わる。ぼくはこれで帰るので、お別れの挨拶のためだ。ぼくがここまで乗ってきた車を指さして、兄弟達は「S社(ぼくの勤めている会社)さんから、さわらんようにと言われたから」と、方言まじりで言う。
 そのとたん、道路の向こうから激しい爆発音がして、たくさんの小さな噴火口が地面にでき、噴煙を吹き上げながら、まっすぐぼくらの方に噴火が迫って来る。一瞬逃げようかと思うが、まだ少し距離があるので、踏みとどまって眺める。すると、噴火は途中で止まり、これ以上こちらに新しい火口ができる様子はない。火口の周りにもぞもぞ動くものが見える。どうやら鹿の群だ。火山は鹿たちといっしょに向こうへ戻っていく。
 雨が降ってきた。そこへ宮崎県のお国自慢のプラカードを掲げながら、宮崎のPRソングを賑やかに歌いつつ、大人と子どもの群れがやってきた。ここまではぼくの見ていた映画で、これは映画のラストシーンなのだ。
 スクリーンの前のステージにマイクを持った一人の青年が立ち、「さあ、これからぼくの話を聞いてください」と、会場の子どもたちに話しかける。ぼくはもう出かけなければならないが、お腹がぺこぺこだ。大好きなうどんと卵焼きを食べ始めるが、もっと食べたいのに鍋が見当たらない。かたわらでうどんをつるつると啜っている妻に「鍋はどこ?」と声をかける。妻はうどんを啜りながら、あちこち見回すが、鍋は見当たらず、ぼくに「もっと早く聞いてくれればよかったのに」と文句を言う。

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