二日分の夢(校正と賞の選考会)

(10月2日の夢)
 パンフレットの校正をチェックしている。黒い建物の絵か写真が印刷されている。戦後の幼い頃に見た中日球場のスコアボードを連想させる建物だ。その建物の窓に、一字ずつ字が描かれているが、その文字が二つほど間違っている。校正しようと赤ペンでその文字に触ると、その文字の描かれた窓の板がくるりと回転し、裏側から正しい文字が現れた。なんだ。この板が反転してしまうから、いけないのだ。ぼくは「反転しないように」と赤で書く。その後で、「そんな校正を文字で書くより、ぼくがこの窓の上にセロテープを貼って、回転しないようにすればすむことではないか」と気づく。はたからそれを見ていた社長が「デザイナーのSくんに、反転しないよう留めてもらえばいい」と言う。
(10月3日の夢)
 老詩人のK氏が選考委員をしている賞の選考会場に、車で行こうとしている。雨上がりの洗われたような地平線の山脈と、都市の景観の上に、美しく陰影のある雲がかかっている。ふと気づくと、会場への行き方を記した地図を置いてきてしまった。記憶を頼りにどうやらそれらしいホテルか料亭のような場所に行き着く。ロビーを華やかな和服に身を包んだ料亭の女性たちが忙しく往き来している。ぼくは階段を上がっていくが、はたして会場に行き着けたのか、K氏に会えたのかも分からないまま、いつのまにか外に出て、車で帰り道を走っている。道路は小さな湾をぐるりと迂回していて、湾のちょうど反対側にさっき後にしてきた都市が一望に展望できる。都市の真ん中でひときわ異彩を放っているのはスタジアムだ。そこではSF的なイベントが行われていて、スタジアムから翼をつけた人間が次々と周囲に飛び立つ。湾のこちら側から、その光景を望遠レンズで狙っているテレビカメラがある。だが、そのイベントは今終わったところらしい。車でぼくの隣に同乗している人が「静かでいいね」と言う。だが、外は喧噪な市街だし、車の窓は開放されているので、騒音がまともに車内に飛び込んでくる。なぜ、その人はそんなことを言うのだろうと思い、ぼくはその人の顔を覗き込む。

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