5月14日の夢(砂土間の店)

 上野公園を歩いていると、砂の土間がいくつもある、奇妙な店がある。そこにP誌の元編集長のK女史がいて、ぼくを呼び止めた。「ねえ、会社はどうしてこんなふうになっちゃったの?」と、彼女は尋ねる。ぼくは「こういう優秀な人材が皆辞めちゃったからですよ」と答える。
 そこへ「どうも」と言って、店主の男と、男女一人ずつの従業員が顔を出した。ぼくは男たちには見覚えがないが、向こうはぼくを知っているらしく、「朗読会の場所にここはどうですか」と言って、パンフレットを何枚も見せてくれる。確かにいいところだが、ここがどこなのか、いくらパンフを見ても場所の名前が書いてない。そもそも日本のどこにあるのかさえ分からないのだ。それに、そんなところまで出かけなくても、上野のこの店でやってもいいのではないだろうか。
 ぼくはなにかをコピーしようとして、外へ走り出すが、どうやら方向を誤ったらしく、雨の中で道に迷ってしまう。後から店主が追いかけてきて、「どうしたのですか」と言うので、「コピー機を探してるんです。それに、ぼくは片足で走れるので大丈夫ですよ」と強がる。事実、ぼくは右足を左足の上に乗せて、片足で走っているのだ。
 しかし、結局コピー機をみつけられず、ぼくは店に帰る。店では夕方の仕込みに大わらわだ。店の外に、食べ終わった食器を置く台があるので、ぼくもそこに空の食器を置く。そして、「また来るわ」と言って、リュックを背負う。その瞬間、白いスーツのお尻が真っ黒に汚れているのに気がつくが、まあいいやと思う。

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