8月3日の夢(政変)

 東南アジアのある国に仕事で滞在している。知人の邸宅に、その家族と何人もの召使たちと一緒に宿泊する。突然、政変が起きたらしい。この国にとどまるのはもう危険だ。邸宅から主人の家族と召使たちと、それぞれ別の車で空港まで脱出することになる。ぼくはどちらのグループに合流すればいいのだろう? 考えているうちに、ぼく一人だけ置いていかれてしまった。慌てて裏口から道路へ脱出する。ちょうどそこへ召使たちの乗った車がさしかかった。みんな沈鬱な表情で、ぼくの顔を「乗らなくていいのか」という顔で見つめる。だが、何か言い難い感情で、ぼくは首を横に振る。もし、後ろから家族の車がやってきたら、それに乗ろう。だが、やはり主人たちの車はとっくに先へ行ってしまったらしい。
 歩いて空港への道をたどる。途中、宿泊所らしい建物に立ち寄る。廊下で二人の男たちが争っている。片方の男が相手に二枚のビラを投げつける。すると、間髪をいれず、相手はそれを拾って、投げ返す。その動作が何度も繰り返される。ぼくはそのビラが手りゅう弾のように爆発するのではないかという恐怖にかられ、そこから逃げ去る。
 子供たちが沢山の料理を作っている。向こうから葬列がやってくる。この料理は葬儀の常として、貧しい者たちに分け与えられるのだという。
 外へ出る。もうこの国に取り残された日本人はぼくだけだという寂寥感にとらえられる。

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