5月19日の夢(地獄)

 おんぼろのホテルに泊まっている。ぼろいホテルなので、ベッドさえないらしく、ぼくはミノムシのように寝袋にくるまって眠っている。ふと目覚めると、ぼくは眠ったまま寝袋の中で放尿していた。これはホテルの備品だから、見つかったらまずいことになる。そう思ったぼくは不安にかられて、部屋の外に出る。
 しかし、どうしようもないので、部屋に戻ることにする。確かぼくのいたのは1階の部屋だったと思うが、そこには別の客がいる。二階にも行ってみるが、やはり別の客の部屋になっている。もしかして地下だったかと思い、階段を下りると、そこは地獄のような場所だった。いや、本当に地獄なのかもしれない。針の山や血の池のような景色の向こうから、何か怖いものが襲ってきそうで、ぼくは慌てて一階に逃げ帰る。
 一階の客室は確かにぼくの部屋だったと思うのだが、寝袋は跡形もなく、真中に大きなテーブルが置かれて、三つの椅子が並んでいる。左右の椅子に見知らぬ中年のサラリーマンが座り、新聞を読んでいる。やはり、ぼくがいたのはこの部屋だったはずだ。あの寝袋をこの男たちが片付けたのだったら、かっこわるいなと思いつつ、空いている真中の椅子に座る。
 と、しばらくして、右側の男が「そろそろ行こうか」と左側の男に声をかけ、二人は部屋を出ていく。やはり二人は仲間だったのだ。そこへ突然割り込んだぼくはどんなふうに見えただろうかと、一瞬うろたえる。しかし、彼らが出て行ったのだから、ここはぼくの部屋に戻ったのだと思うが、それもまた早とちりだった。入口から既に次の客が入ってきて、「ここは私たちの部屋ですが」と、ぼくに言う。
 

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