5月29日の夢(放射能汚染された東京)

 女性詩人のWさんとレストランで食事をした。「今日はぼくがおごるよ」と言って、伝票をつかみ、レジへ向かう。彼女はハンドバッグに手を入れ、自分の分を払いそうな気配なので、それを制止する。
 レジには二人の女性がいて、右の女性は先客の支払いを扱っている。左の女性がぼくににっこりと笑いかけるので、伝票を渡すと「30,000円です」と言う。えっ、そんなに高いのか! と、ぎょっとする。ぼくの公式の財布にはそんなにお金が入っていない。秘密の財布を取りだし、そこから5,000円札を何枚か出して、なんとか支払おうとする。ところが、肝心の伝票がどこかに消えてしまった。
 ある女性社員のデスクで、その伝票は見つかった。レジの女性が「いいのよ。あなたのせいじゃないの。別の人が間違えて、ここに置いたのよね」と言うが、デスクの女性の目からみるみる涙があふれ出した。どうもぼくは彼女に恥をかかせるようなことを何かしでかしたらしい。
 店を出て、雨の街を歩くうち、人波にまぎれてWさんを見失ってしまう。JRの千駄ヶ谷駅に向かうが、改札口にはロープが張られ、駅舎には人けがない。原発事故による放射能汚染で、首都の地上の鉄道はすべて動いていないのだ。地下鉄で帰ろうと思うが、どの駅からどの路線で帰ればよいのだろうか。

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