6月10日の夢(雑魚寝の病室)

 畳を敷いた部屋で、ぼくも妻も沢山の男女と共に雑魚寝している。多分、ぼくが病人で、妻が介護をしているのだが、逆かもしれない。あるいはその両方なのか。とにかく、ここにいるのは今にも死にそうな老人ばかりだ。隣の部屋から「院長を呼んでください」という悲鳴のような叫びが上がる。「この呼び出しのあと、もう呼び出すことはありませんから」と男性医師の声がしたのは、もう病人の死を覚悟したからだろう。「うーんうーん」という患者のうめき声も聞こえる。
 ぼくの前に寝ていた老人が布団からがばっと半身を起こした。苦しいらしい。周囲の人々が「死ぬなよ」と声をかける。妻の後ろに寝ていた男性がどさくさにまぎれて、妻に寄りかかろうとしているように見える。「人の妻に手を出すな」と、ぼくは叫ぼうとするが、周囲の状況を考えて我慢する。

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