9月12日の夢(9.11 10周年)

 郊外のホールでオウム真理教の講演会に来ている。既に故人のはずの有名詩人A氏がオウムと提携して開いたものだ。ロビーは総ガラス張りで外の風景がすっかり見える。少ししか建物のない丘陵に、突然むくむくと巨大なビルが風船が膨らむように立ち上がる。すごい。オウムの起こした奇蹟の力らしい。
 講演会が始まる前に、オウムの幹部がA氏に言う。「講演会のあとは文学紀行のツアーですね」。A氏は顔色を変え、「講演会のことは聞いているが、その後の予定なんか聞いていない」と抗議するが、幹部は取り合わず、ぼくたちは講演会場に押し込まれる。
 そのとたん、今度は周りのビル群が風船がしぼむように一斉に縮み始める。気がつくと、ぼくはビルの床に一人倒れていた。みんなビルの崩壊で死んでしまったのか。足元にIカメラマンの姿がある。「どうやらこのビルだけはオウムの幻影ではなく、本物だったみたいですね」と彼は言う。

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