線路の上の軍楽隊

 小田急線に乗っていると、駅でないところで停まってしまった。何かあったのかなと思っていると、別の列車に自衛隊が乗り込むためという車内アナウンスがあった。そのためだろうか、ぼくの乗る電車は本線と直角に交差する支線に退避して、右の方へ行くが、すぐまた本線に戻った。すると、本線の上に三人の楽隊が姿を現した。小太りの初老の男と中年の男二人だ。初老の男はチェロを、中年の男のひとりは太鼓を抱えている。そして三人はレールの上で勇壮なマーチを奏でだす。よく見ると、皆一つの楽器ではなく、三つぐらいの楽器を同時に演奏しながら、二本のレールの間を行進して見せる。彼らがここで演奏するのは、今回が二度目だという。

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