12月8日の夢(初日の舞台挨拶)

12月8日の夢。ぼくは舞台の演出家で、初日の開演挨拶をしている。黒の空間の劇場で、舞台も客席も薄暗い。舞台を見下ろす階段式の客席は空席も多いみたいだ。
準備不足で練習もきちんとできないまま、もう開演時間だ。ぼくは上手側の舞台に立ち、マイクをとって出演者の紹介を始める。最初のうちこそとんとんと進むが、だんだん読み方のわからない役者の名前が出てきたり、入れ替わり立ち代わり舞台に現れ、中には今到着したばかりの役者たちを全員紹介できたのか、心もとなくなってくる。最後に「演出は一色真理です」と結ぶが、ぼくは実際には何もしていないに等しい。「では、只今から……を開演します」と宣言しようとして、台本の表紙にある演目の読み方さえ分からないことに、我ながら唖然とする。しかし、もはやぼくは引き返せない。「では、開演しますので、スタッフの方は舞台から降りてください」と言い、一礼をして役者たちと楽屋に下がる。楽屋も黒い空間で、大部屋に全員がいて、談笑している。その瞬間、ぼくは不安にかられて叫ぶ。「あれ、ここには舞台の様子を見るテレビがないじゃないか!」 役者たちもそのことに気づいたようだが、平気な様子だ。ぼくは楽屋を飛び出して、舞台袖に走る。ぼくが役者たちに出番を知らせる以外に方法はないのだ。

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