大学と駅

 戦前だろうか。昔の日本のセピア色の風景。路地裏のようなところに大学がある。ここで作家でもある教授が自殺したという噂だ。路地を迷いながら歩いて、ようやく大学に到着する。教室に入り、講義を聴いていると、男が入ってきて、ぼくに耳打ちをする。また一人、作家でもある教授が自殺したという。部屋の外に出ると、救急車の中に作家が横たえられている。だが、体を動かしているところを見ると、ちゃんと生きているようだ。
 名鉄電車の駅で年老いた知人と待ち合わせ、名古屋の家に戻ろうとする。だが、迷子になってしまい、約束の駅を見つけられない。しかし、歩いているうちにも別の駅を見つけることができた。躊躇することなく、改札をくぐる。そうしてから、果たしてこの駅で本当に名古屋へ帰れるのかと、不安になる。駅にはこの駅のテーマソングがたえず流されていて、とても明るく楽しそうな雰囲気だ。階段を上がると、ホームにちょうど電車が停まっている。だが行き先表示は見知らぬ地名が書かれている。この電車は名古屋には行かないかもしれない。もう一つのホームへ行ってみようと思う。だが、そのホームはもう一階上にあり、そこには殆ど垂直に近い梯子をよじ登らなければいけない。迷っていると、老婆が一人、身軽にその梯子を昇って行った。

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