12月26日の夢(バーでビールを)

 会社で何もすることがないので、ふらふらと渋谷に出て、丘のてっぺんにあるバーに入る。明らかにゲイと分かる痩せた男がやっているバーだ。カウンターの前に腰かけると「何にしますか」と言われ、ぼくは「ああ、ビール」と答える。彼がグラスについでくれたのは外国製のビールだ。とてもおいしい。
 男が外へ出ていくので、ぼくもついて出て、店の外にある、カフェスタイルのテーブル席につく。そこから中を見ると、食堂のようなテーブル席がいくつも並んでいる。そして、右端にゲイのマスターのいるバーがあり、左端には別の男のマスターのいるバーがある。真ん中は二つの店の共有スペースということらしい。そして、そこにはお年寄りから子供たちまでさまざまな客層の人たちがいる。
 ぼくには見えないが、右側のバーで「忘れ物がありました」というお知らせが紙に書いて掲げられたらしく、左側の店主がそれを声に出して読み上げ、皆に教えている。
 そろそろ会社に戻ろうか。でも昼間からお酒を飲んだのが、顔に出ていないだろうか。それに、ぼくはビールを一杯飲んだのに、不整脈の発作が出ないのはなぜだろうか。実はこれは現実ではなかった。ぼくは芥川賞の受賞作品の中に入って、その登場人物としてここにいるのだということを思い出す。

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