6月17日の夢(見えない車と信号機)

 タクシーに乗り、四谷あたりの交差点で、信号待ちをしている。信号は上下に開閉する鉄の門だ。そして、車は透明で、自分の尻の下の小さな薄い板しか見えない。永遠のように長い信号で、みんないらいらしている。「やっと開いた」。一番前にいた黒い顔のインド人の男が、這うようにして鉄門の下を潜り抜ける。続いて、たくさんの男たちの乗った、車体の見えない車が通り抜け、ぼくのタクシーも後に続く。
 信号を抜けたところは急な斜面である。塵取りに尻を乗せて下っていくような感じ。今にも放り出されそうだ。後ろからクラクションが鳴っている。放り出されて轢かれてしまうことを恐れるが、運転手はうまく車を立て直して、斜面を下り終える。
 新宿の南口が見えてきた。ぼくは「甲州街道を左へ行ってください」と運転手に指示する。「目的地は何という建物ですか」と訊かれ、「えーと、なんというのだったかなあ」と必死で思い出そうとするが、どうしても思い出すことができない。

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