3月5日の夢(スプーンがない)

 ぼくは大企業の社員だ。朝、出社すると、社員全員が社員食堂のようなところで、無料で好きなコーヒーを選んで飲むことができる。入り口のテーブルにたくさんの種類のコーヒーが置かれているが、粉で選ばなくてはならず、ぼくはその選択に自信がない。だが、コーヒーの上に生クリームがふわりと乗ったウィンナーコーヒーだけは、カップに入ったものが二つ用意されている。ぼくの前にいた男性社員がその一つを選んだので、ぼくも真似をして最後のウィンナーコーヒーを手にとる。傍らに砂糖やクリーム、スプーンなどを置いたコーナーがある。誰かが「スプーンがないね」と言う。本当だ。いくら探しても、スプーンはなく、耳かきのように小さなスプーンばかりだ。あきらめて、その一つを選び、食堂の奥に進む。食堂は一番奥がカギの手に曲がっていて、そこだけ入り口から見えないスペースになっている。ぼくはその一番奥のテーブルにウィンナーコーヒーのカップを置き、立ったままで飲む。みんな執務時間に入ったのに、こんなふうにのんびりとコーヒーを飲んでいてよいのだろうか。
 会社から外に出て、ふと自分のいでたちを顧みる。ぼく以外はみんなスーツとネクタイ姿なのに、ぼくは上着こそスーツを着ているが、下は細身のブルージーンズだ。こんな格好でよいのだろうかと戸惑う。

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