11月26日の夢(退職の日)

 今日、ぼくはこの会社を出て行く。退職して独立するのだ。さして自信はないけれど。社長が最後に話をしたいと言い、二人は床に並んで寝転がる。「きみの後輩の一人が書いた作品がなかなかいいんだよ」と、社長は天井を見上げて言う。「そうですか。良かったですね」と、ぼくも天井を見上げて答える。
 社長はその後輩の男の書いた作品を鞄に入れて、クライアントへのプレゼンに出かけた。天井の鴨居には後輩の書いた作品が、半紙にずらりと書いて貼ってある。ぼくは踏み台に昇り、空欄になったままの一番左の半紙に「夢のうちそと」という文字を書き込む。社長が彼の作品をそう名づけたいとさっき言ったからだ。背後でほかの後輩たちが「そういうタイトルだったのか!」と賛嘆の声を上げるのが聞こえる。さあ、これで終わった。ぼくは後ろを振り返ることなく、お世話になった会社を後にする。

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