田舎の家に寄留している。家は広いが複雑で入り組んだ構造だ。玄関は特になく、表に面したどの部屋からも家に上がることができる。しかしどの部屋の前も脱ぎ散らされた靴やスリッパが並び、足の踏み場もないほどだ。部屋には蒲団を敷いて、ごろ寝している人たちがいる。老若男女さまざまだ。みんなの靴を蹴散らして部屋に上がり、寝ている人たちの間を縫うように行ったり来たりする。
一度外に出て、奥の部屋から家に上がろうとする。庭にテーブルが置かれていて邪魔なので、その下を潜り抜ける。積み重なったものを踏み段がわりにして、ぐらぐらする足場を登っていく。振り返ると、三人の男子高校生がぼくの後を追って登ってくる。二階にいる男性がぼくに「今日は登ってくる人が多いね」と声を掛けてきた。