名古屋に詩の賞の主宰者になっている喫茶店があると知人に聞き、早速訪ねてみる。お店はふつうの家のダイニングルームのような感じだ。四角形の大きなテーブルが一つだけ真ん中にでんと置かれて、周りをいくつかの椅子が囲んでいる。コーナーの席に座り、店内を見渡すと、先客の若い男性が二人。それぞれ単独客らしく、別々のコーナーの席に座り、お茶を飲みながら本を読んだり、調べ物をしたりしている。つまり四角形のテーブルの四つの角のうち、三つの角にぼくを含め三人の客がいることになる。
ぼくは応対に出た中年の女性店主に「詩のコンクールをやられているんですね。全然知りませんでした。このお店はいつからあるんですか?」と尋ねる。彼女は「以前、サワキヨというところから移ってきたんですよ」とだけ答える。