今日は行商のセールスマンになりすますことにする。勤務する会社のそばの小さな鉄工場に入っていく。中年の作業服の社長をはじめ職人たちが手を休めてぼくのリュックから取り出されるボールペンを見つめる。にこにこしながらそのペンを買ってくれる。適当な金額を言うと、ぼくの両手に小銭で支払ってくれた。ぼくは領収証を忘れてきたと言って、その会社の出納帳に「ボールペン代金 ○○円受領」と書き、サインをする。
いい気分で外に出ると、そこは原宿のビル街だが、森の中のようにも見える。表参道を渡ろうとすると、横断歩道がいちもよりちょっと右にある。変だなと思ったら、その左にもう一つ横断歩道が現れた。どちらを渡ろうかと思案する。