5月9日の夢(親切な男には気をつけろ)

 自分の薬のデータを収めたCD-ROMのコピーをしたいと病院のロビーをうろうろしている。ロビーにぽつんと置かれたデスクに座った男性職員がいたので、「これをコピーしていただけませんか」と声をかけてみる。意外にあっさりと「いいですよ」と引き受けてくれた。終わると「ROMのラベルのカラーは何色にしましょうか」と言うので「青色でお願いします」と答える。すると「青色は間違えやすいです。黄色にしておきますよ」と親切に黄色のラベルまで貼ったROMのケースを渡してくれる。ぼくはお礼を言って、お金を渡すべきかどうか迷うが、それはあんまりだと思い直し、「いずれお礼をさせていただきますね」と言い、「ではこれで失礼します」と立ち去ろうとする。

 意外なことに、男は「自分ももう帰るところですから」と言って、ぼくについてきた。外は風雨が激しく、駅の周りは帰宅を急ぐ人々でいっぱいだ。空を見上げると雲の流れが速い。ぼくは「台風が来ていますね」と彼に言う。彼は「ではどこかで休みましょうか」と言って、周辺の商店街を物色し始める。飲食店を探しているのだと思うが、適当なところはなさそうだ。さらに彼は暗い木造階段を上がり、無人の店舗のドアの破れ目に指先を突っ込んで穴を大きくすると、目を当てて中を覗き込む。ぼくは当惑して下から見上げるだけだ。「場合によってはここでもいいですか」と彼がぼくに問いかけたとたん、ぼくは不穏なものを感じて一目散に逃げ出し、後ろも振り返らずに全力疾走する。せめてガードを越えて駅の向こう側にたどりつければと思うが、線路を越える道がなかなか見つからない。

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