会社にいる。会社の前にも、またその内部にも大きな水溜まりができている。それはぼくの心のように汚い。「社内の床もひどく散らかっている」と女子社員がぼくを非難する。「それはぼくが今掃除をしている途中だからだ」とぼくは反駁する。
初老の女性取締役が会社の外に出てきて、「では、この問題を解決するために、三人の志願者を募集します」と言う。それに応じて手を挙げたのは二人の中高年の男性社員だ。「同世代の人で、もう一人いませんか?」と取締役が言うので、ぼくも手を挙げる。ぼくら志願者三人は汚水の水溜まりのほとりで立ち話を始める。だが雨が降り出し、ぼく以外の二人はどこかに行ってしまう。てっきり社内の水溜まりの方へ行ったのだろうと思い、ぼくも中に入るが二人の姿はどこにもない。
社員たちの中に若い女性が一人いて、ぼくに何かを語りかける。しかし声が聞き取れないので、ぼくは思わず彼女に近づいていく。それを察したのだろう。彼女の方から「いつも私の声が小さいから聞こえないのね。ごめんなさい」と謝ってくれたので、自分の耳が遠くなったのではないことに、ぼくはほっとする。