ウォーターフロントの高層ビル最上階のガラス張りフロア。ソファーの快適なこの部屋で新しい詩の合評会を始めた。十人ほどのメンバーの中に妻も加わっている。作品を提出している10人ほどのうち、なぜか最後の人だけが欠席だ。詩の読み方がいつも同じでつまらないとクレームをつける参加者もいる。
ガラス張りの壁面の向こうは大きな空で、西日がいっぱいに差し込んでいる。カモメが飛んでいる、と誰かが言う。「港町だから当たり前だよ」とぼくは答える。すると壁面いっぱいになるくらいの巨大なカモメがやってきて、ぼくらを覗き込む。美しい風景にぼくはシャッターを切る。するとカモメは美しい天女に変身する。
振り返ると、欠席だったはずの最後の作品を提出した韓国の老詩人が朗読を終えたところで、ぼくと目が合う。西日が逆光になっていて、テキストが読みづらいが、目をすがめて作者名を読み取り、「〇〇さんでした」と皆に紹介する。