プロ野球投手のマー君をインタビューするために四国へ出張した。川を渡ろうとすると、橋の真ん中に穴があいていて、その中から「おーい、誰か助けてくれ」と声がする。覗き込むとマー君が顔を真っ赤にして叫んでいるので、助け上げる。
地上に無事戻ったマー君に「今日、ぼくがインタビューする予定だと、分かってました?」と尋ねると、驚いた顔をする。並んで歩きながら「ここでキャンプなんですか?」と言うと、けげんな表情だ。しまった。もうリーグ戦が始まっているのに、なんて愚問なんだと反省する。「以前、新人の頃にもぼくのインタビュー受けたの、覚えてます?」と言うと、記憶がないという。
ふと違和感を感じて下を見ると、ぼくの履いている長靴の足先が両足とも大穴があいていて、指が丸見えである。これはまずい。彼を助け上げたのだから、もしかしたらお礼に新品を買ってくれないだろうか、と考える。だがそんなことはおくびにも出さず、「ランチを食べに行きましょう」と言うと、素直に「はい」と言う。とりあえず母と泊っているホテルに寄るというので、ついていく。人々がたくさんいるロビーのドアを開けて、「ジ・エンド」とマー君が言う。なにげなくついていこうとして、そうかここから先はついてくるな、という意味かと了解する。しかししばらく待ってもなかなか彼は戻ってこない。一人の若い男が出てきたが、それは別人だった。