今日は会社を退職する日だ。だが、編集者としてのぼくのキャリアが終わるわけではない。ガランとした人けのないオフィスの自分のデスクから、ぼくは最後の経費をつかみとる。それは透明で、虚無そのもののように見える。
街に出ると、同じ作家を担当する他社の三人の編集者たちに出会い、合流して行動することにする。まずは作家の行方を探索しなければならない。他社の一人が作家は病院に入院していることを突き止めた。だがそのために彼は経費が尽きてしまい、作家探索の旅から脱落することになる。
残りの三人で、作家の入院する病院のある都市へと新幹線で向かう。女性の編集者は「私は最後尾の号車に乗るから」と言う。目指す都市へ着き、ぼくはホームから階段を降りたところで残りの二人を待つが、いつまで経っても二人は現れない。どうやらうまくまかれてしまったようだ。