10月13日の夢(第二の地上)

 ビルの一階に新しい住居を借りた。そこから不動産屋の男と友人の三人でエレベーターに乗る。エレベーターとホールの間は一枚の総ガラスになっている。どちらが内でどちらが外か分かりにくい。せっかく乗っていたのに、降りて向こう側へ行ってしまう人や、「乗りなさい」と声をかけても恐れて乗ってこない老人もいる。
 結局、ぼくたち三人だけでエレベーターは上昇を開始する。随分ゆっくりだ。目指すのはぼくの自宅の第二の居室がある十一階。そのフロアに到達すると、エレベーターはガタンと激しく揺れて止まり、そこから水平に横移動する。さあ十一階だ。
 降りると、そこは空中ではなく、そこにも地面があった。ちゃんと街があり、路面電車や車が賑やかに行きかっている。「これは山をくりぬいて作ったビルだからね」と、ぼくは説明する。しかし、似たようなドアがあって、どちらがぼくの居室か分からない。鍵を持ってうろうろしていると、不動産屋が「両方ともあなたの家ですよ。二つ隣り合わせの部屋をおとりしたんです」と言う。そうか。これからぼくはこの二つのフロアを一階と二階のようにして暮らしていくのだ。

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